のどかな畑が広がる厚木市飯山地区に「あつぎ飯山野良の芸術美術館」が4月15日にオープンした。古民家風の館内に一歩入ると、オレンジ色の照明が照らすレトロな雰囲気。古い農機具や能面などの品々とともに、パステル画37枚が展示されている。作者はこの美術館の館主で、館内で暮らしている小島富司さん(74)。市立清水小学校の校長や七沢希望の丘初等学校の校長などを務めて昨年退職、教員として約50年の経歴をもつ。
作品群はいずれも季刊「農民文学」の表紙を飾ってきた。この書籍は戦前の昭和30年に創刊、発行する「日本農民文学会」は厚木市名誉市民で農民文学者の和田傳などが戦後立ち上げた。
「和田先生とのゆかり、ご縁を無駄にしてはいけない」。依頼を受けて描き続けるテーマは、地元飯山の稲刈りや神社の行事の風景、戸田地区のカーネーションやシクラメン、メロン生産者など。現地で声を聞き、スケッチして持ち帰り、色とりどりのパステルで描きこむ。キャンバスに色を載せた後、指で色をなじませ、柔らかく温もりある表現が持ち味だ。
館内は整理中で、アトリエを訪れるような雰囲気。住所は厚木市飯山4152。開館は午前10時から午後4時まで。月曜・火曜は休み。詳しくは【電話】046・241・1353まで。