県立公文書館に保存されていた明治初期ごろの西大井村を描いた絵図の修復作業が終了し、同館ウェブサイトの「公文書館デジタルアーカイブ」で公開されている。西大井自治会が6月1日に発行した「広報にしおおい」ではこの話題を大きく紹介されている。
明治初期ごろの西大井村を描いた絵図
絵図は、西大井村を小字ごとに描いた17枚。17年に西大井自治会役員が同地区自治会館の納戸から偶然発見した。和紙製で縮尺はおよそ6千分の1。1枚あたりの大きさは、新聞紙の見開きに相当する。
当時、自治会役員を務めていた井上瑞臣さんは、「保存状態は悪く、害虫に蝕まれて異臭もした」と振り返る。保存を巡り、町職員や自治会内で相談したところ、歴史的資料の価値があるとして県立公文書館に修復と保存を依頼した。
郡区町村編制法が施行されていた明治初期ごろに作成されたものと推測
県によれば、絵図には「第二拾一大区拾小区相模國足柄上郡西大井村」とあり、郡区町村編制法が施行されていた明治初期ごろに作成されたものと推測された。
また平塚市博物館に道路や宅地、荒地などの凡例が同じように11色で塗分けられた絵図が保管されていることや、田畑は甲乙で評価を示した貼紙や検印も見られることから、明治政府が行った地租改正法に基づく地勢調査の一環として作成されたものとみられている。
生活様式を伝えている
酒匂川沿いの小字名に「河原」がついた土地では、川の氾濫を受けたものと見られる荒地表示のほか、二宮尊徳翁の教えで稲の生育に影響を与える湧水を流すための堰らしきものも見受けられるなど、当時の生活様式を伝えている。保存に向け尽力した井上さんは「当時の住民は、繰り返す酒匂川の氾濫から大変な苦労をして復興したことを偲ぶと感慨深く思う」と話していた。
- 絵図はデジタルデータ化され、県公文書館HPのデジタルアーカイブから「神奈川県足柄上郡西大井村絵図」で検索すると閲覧できる。