写真や絵画など、さまざまな展示品が並ぶ二ヶ領せせらぎ館(宿河原)に7月、「多摩川河川敷の甲虫類」と題した標本箱が加わった。日本甲虫学会会員の川田一之さん(66)=登戸在住=が長年採集してきたコレクションだ。
日本甲虫学会会員の川田一之さん
東京都中野区出身で、高校生のときには生田緑地に虫を採りに来た思い出もある川田さん。学生時代から同学会の前身に所属し、登戸に住んで30年。自宅近くの多摩川河川敷、主に中野島から高津区宇奈根の川崎市側と、対岸の狛江市側で甲虫類を採集してきた。
今回の展示では、多摩川河口部の標本も一部加え、87種・140点の甲虫類を一覧に。各名称のほか、ラベルに採取日や場所も記載している。
魅力は 「多様性」
標本にしやすいという甲虫の魅力は、「やっぱり多様性ですね」と川田さん。「河川敷にしかいないヒゲコガネ」「一番古いのは90年代のエゾカタビロオサムシ」「夏に探すならタマムシやカナブン」–と標本箱を前に語る。展示のそばには、同展に寄せた文章も添えられている。
一般向けに展示をするのは初めてといい、川田さんは「河川敷を整備しすぎると虫たちが住む場所がなくなってしまう。興味を持って、甲虫類が生活する自然環境を考えてもらえたら」と思いを込める。同館スタッフは「夏休みにぴったりの標本を展示でき、うれしく思う」と話している。8月中は展示予定。月曜と第1・第3水曜休館。