近年、先進国で大きな課題となっている「食品ロス」。神奈川県ではSDGsアクションとして、食品ロス削減を通じ、食に困っている人を支援する「フードドライブ」に取り組んでいます。現状や活動について神奈川県庁のSDGs推進担当課長の湊治子さんに話を聞きました。
「食品ロス」の状況は?
食品ロスとは、本来食べられるにも関わらず廃棄される食べ物のことですが、日本で年間522万トン(2020年)、その量、東京ドーム4杯分に及びます。本県においても生産、販売、消費等の各段階で日常的に廃棄され、40.6万トン(同)に達します。
一方で、コロナ禍で生活が困窮し、食に困っている人が増加しているという状況も浮き彫りになっています。日本の子どもの7人に1人が貧困状態とされる中、その課題解決には、行政による「公助」のみならず、民間の力による「共助」の拡大が重要です。
具体的な施策について教えてください
県民の皆様に「てまえどり」「たべきり」について周知するほか、使いきれなかった未使用の食品を寄付する「フードドライブ」など、食品ロス削減の対策について広報を行っています。
中でもフードドライブの活動は、食品ロスの削減に加えて、生活困窮者への支援になるため、県としても普及に力を注いでいます。県内全域で活発に行われるよう市町村や企業、団体に向けたマニュアル作成のほか、自由に使えるロゴマークや広報用資料も揃えています。
そのほか、「公益社団法人フードバンクかながわ」を中心とした県内の「フードバンク」活動団体と、各所のフードドライブ、食品事業者とのマッチングなども行っています。
今後の取り組みは?
フードドライブなどの活動について、若者にもっと知って頂くための取り組みを、民間と連携して進める予定です。また、最も求められるお米の供給を増やす取り組みも促進していきます。
最後に一言お願いします
食品ロス削減は、CO2削減にもつながるほか、SDGsの観点でも「貧困」「パートナーシップ」など多項目に該当するなど、SDGsを実践するための身近な「入口」だと言えます。1人ひとりが食品ロスの削減を「自分事」として捉え、行動に移していただきたいと思います。