重松清さんの小説『きみの友だち』
国語の授業で触れた、重松清さんの小説『きみの友だち』(新潮社)を、多くの人に読んでもらおうと、市立東小倉小学校(幸区東小倉/坂本正治校長)の5年生が文庫本の帯や、しおり、ポップ作りに取り組んだ。地元の北野書店が協力し、3月20日まで同店でコーナーを開設している。
作品は小学校高学年から中学生の主人公のそれぞれの「友だち」との距離感を描く。10本の短編小説からなる連作。
100冊分の帯に100通りの言葉を
子どもたちは2022年の夏休み中に同書を読み、その後、授業で理解を深めた。共感する部分や言葉を探す中、感じ方が親世代と違うことを発見。もっといろいろな人に話を聞いてみようと、学校司書や図書ボランティア、北野書店スタッフと意見交換する読書交流会を開催した。「約430ページの文庫本を手にすること自体、ハードルが高かったが、読んでみたら面白かった。もっと多くの人に手にしてもらいたい」。そんな思いを膨らませた児童の一人、堀内悠登さんが北野書店に協力を要請し、実行委員会が立ち上がった。委員には堀内さんのほか、稲垣南帆さん、田中詩乃さん、石井健太さん、山本和馬さん、土門咲葵さんが名を連ね、9回にわたっての話し合いでPR方法を決定。クラスで手分けして帯や、しおり、ポップ作りを行った。100冊分の帯には「『親友より彼氏を優先』あなたならどうしますか」「友だちの形はひとつでない」など100通りの言葉がしたためられる。ポップづくりでは「誰に向けてのメッセージか」とターゲット選びから議論を重ねた。「ネタバレしないよう」配慮したという。
3週連続で週刊売り上げ1位に
2月20日から本を陳列し、コーナーを開設。同書店によると3月14日時点で38冊売れ、3週連続で文庫部門の週刊売り上げ1位を獲得。好調な売れ行きに子どもたちは「達成感がある」と喜んだ。