市立横須賀総合高校美術部は、書道と美術の公募展「第25回高校生国際美術展」の美術の部・団体部門で、最高位賞である最優秀校賞を受賞した。個人の部でも最高位賞に相当する賞を部員2人が獲得。受賞作品は8月18日まで都内の国立新美術館で展示された。
高校生国際美術展には、毎年2年生以上の部員全員が作品を応募している同部。最優秀校賞の受賞は5年ぶり3度目となった。個人の部門では、イギリスのチャールズ国王が審査に関わる「キングズ・ファウンデーション賞」を岸晏妃(はるひ)さん(3年)、内閣総理大臣賞を大西花愛(けいと)さん(3年)が獲得。両賞とも最高位賞にあたり、トップを同校部員が独占する形となったほか、それに続く「名誉会長賞」にも毛防子(けぼうし)翔生(しょお)さん(3年)の日本画が選ばれた。
応募総数1440点の頂に立った2作品。尊敬する姉の後姿を描いた岸さんは「まさか大きな賞をいただけるとは」と驚きの声を上げた。油絵の上に樹脂を流し込むことで、奥行きを作り出したのは大西さん。「初めての試みだったが、世界観に没入して描けた」と制作を振り返った。
いずれも将来はデザイナーや映像作家などを志しており、美大受験へ向け予備校へ通いながら対策を行っている。
部員同士が切磋琢磨
美術科のない公立高校ながら躍進を続けている同部。55人の大所帯が各自で作業を行っているが、絵画、彫刻、映像など部員によってジャンルは様々。「『これはこうしたほうがいいのでは?』と教え合うことも多いので、学ぶことが多い」(大西さん)と生徒同士の交流も活発だ。制作が佳境になると居残りで夜まで作業する部員も多いという。「基本的に生徒の自主性に任せているが、みんな高い意識をもって取り組んでいる」と話すのは顧問の渡邉美樹教諭。「今年は特に個性的な部員が多く、今後の作品も楽しみ」とさらなる飛躍を期待する。
8月中旬に長野で行われた夏合宿では、豊かな自然を描くという課題に各自が取り組んだ。炎天下の中、イーゼルスタンドを立て作品に向き合うのは毎夏の恒例行事だという。そのほか、同部はこれまで京急バスの停留所アートや市役所等での作品展示、久里浜商店街とのコラボアート企画など地域活動にも積極的に取り組んでいる。
今回の受賞作品を含めた展示は2025年1月に横須賀美術館で予定されている「児童生徒造形作品展」で行われる。