20日(土)、亡き人の追悼などを目的とする「八王子とうろう流し」が八王子市役所近くの浅川・河川敷広場で開かれる。亡き人を弔ってとうろうが流される前にはよさこいや和太鼓演奏が行われるなど、家族ぐるみで参加できるイベントとなっている。
そんな催しを見守ってきたのが、主催する八王子市仏教会の理事長を務める浦野信幸住職(千人町・宗格院)だ。
現在は準備に携わっていないというが、元々は催しの立ち上げメンバー。八王子空襲で亡くなった人の五十回忌にあたる年に「悲しみを風化させないように」と仏教会の仲間と共に協力者を募り、開催へとこぎつけたのだという。
「全てが無からだったので大変でした。成功させようという一心でみんながんばりました」と浦野住職。そして、イベントが長く続いてきたことに「すごいことだし、うれしいね。みんなが引き継いできてくれた」と。「当日は、それぞれが思う仏さまに対して供養の気持ちを込め、とうろうを流してもらえれば」
イベントは午後3時30分から。とうろう流しは6時30分にスタート。とうろうは当日にも販売(千円)される。
催しの実行委員長を務める仏教会の松本智量さんは「参加された方に活力を与えられるイベントにしたい。今年もフードドライブを行う予定。余っている食料品をお持ち頂ければ」と話している。
(問)事務局大石さん【携帯電話】080・4206・3330
「とうろう流し」を支える市仏教会青年部の会長渡部円堯さん
「何でも言い合える、しがらみのない場所」――。5月、そんな会のリーダー役を引き継いだ。宗派を超えて結ばれる絆の深さは先人たちが築き上げてきてくれたものと話し、「私のやりたいことではなく、みんなのしたいことを行っていきたい」と意気込みを語る。
犬目町・明観寺の副住職。寡黙なイメージのある僧侶とは異なり饒舌。周囲と分け隔てなく会話を楽しみ、笑顔で接する。新しいものを取り入れていかなければお寺は取り残されてしまうとし、とうろう流しで「ブース」を出すなど、催しを活用して地域住民との距離を縮めていきたいとも。「伝統は守りつつ、です。今の若い人たちにお寺の魅力を知ってもらいたいんですよ」
任期は2年。来年には部の創立40周年の記念式典という”大仕事”があるが、力まず会の和をつないでいく考えだ。「なにごとも極端にならず、中道を歩んでいくことが大切と考えています」。50年、100年続く会へ柔軟に――。でも確実に前へと歩を進めていくつもりだ。