市立の文化財施設である鎌倉歴史文化交流館と鎌倉国宝館がこのほど、ユーチューブチャンネル「かまくらミューズちゃんねる」を開局した。情報発信の新たな試みで、きっかけは新型コロナによる来館者減。これまでと違う方法で文化財を紹介することで興味を持つ年齢層や地域を広げられるのではと同館関係者は期待を寄せている。
動画による情報発信企画は1年ほど前から本格的に準備が始まった。以前から構想はあったが、新型コロナにより来館者が減少したことを受けて、企画が動き出した。ステイホームの中、積極的に情報を発信できるとして動画投稿サイト「ユーチューブ」の利用となった。
オリジナルキャラクターの「みゅーちゃん」登場
第一弾の動画は、同交流館の紹介。オリジナルキャラクターのみゅーちゃん(パペット人形)と学芸員が登場。文化財を見たときに感じたことや疑問を人形が質問し、学芸員が応える方式で進行していく。「学芸員が単に話していくのではなく、キャラクターを介することで小さなお子さんでも興味を持ってもらえるのでは」と同交流館の学芸員大澤泉さん。
同交流館の動画担当は4人。台本を作り、文化財紹介の監修にも力を入れる。難しい言葉は使わないようにし、テロップを入れ見飽きない工夫もされている。ほかにも次回の動画に誘導できるようキーワードを示したり、宿題の提示なども企画されている。
動画配信の利点は「最新の研究内容を紹介できること」ともいう。大澤さんは「展示の場合は、スペースなどが決まっているので、説明できる内容も限られる。動画なら、最新の研究内容をしっかり伝えられるのでは」と話す。文化財の魅力を、実際に見ることができる展示と、ストーリー性を持たすことができる動画で内容を変え、より積極的に発信できるのではと期待する。
大河もテーマに
今後は、両館の展示解説や、鎌倉の歴史をわかりやすく伝える動画なども予定している。館以外の場所も撮影し、鎌倉の豊かな自然や風景の紹介することも。また2022年に放送予定のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に関する内容も定期的にアップしていく予定。大澤さんは「新たな試みで、鎌倉の魅力を感じてもらえれば」と抱負を話した。