小田原市本町出身、相洋高校を卒業した平沼正樹さん(48)がこのほど、小説『スクープの犬』(税込1760円)を刊行した。
2019年、薬科大学を舞台にした『しねるくすり』で「暮らしの小説大賞」を受賞した平沼さんは、世界観を変えようと新作に乗り出した。今回は週刊誌記者を題材に、徹底した調べ込みがリアリティを持って作品に反映されている。
作中、新米記者が貧困女性の取材を進める中で、都内で起きたある殺人事件に深く関わることになり、読み進めるほどに真相が明らかになっていく。スクープを求めて危険な橋を渡る週刊誌記者が描かれている。「意外とみんな知らない世界。ゴシップのイメージがあるが、正義感でスクープに命を懸けている人たち」と業界について調べたことを語った。
アニメーションスタジオの代表でもある平沼さんは、小説を読ませることの難しさを感じている。「今はユーチューブの方が面白い。その壁を乗り越えるため」試行錯誤の日々。今回は筋書きを用意せず、そのとき面白いと思った展開を採用して書き進めたという。