この連載は月1回、「ふたまたがわ歯科口腔外科」の中谷逸希院長が気になるお口のあれこれについてわかりやすく解説してくれるコーナーです
前回は「腫瘍」の概要についてお話しました。今回は、その腫瘍というものについて少し掘り下げてお伝えいたします。口腔外科で扱う腫瘍は様々あり、顎の中や、唇、頬、舌など口の中の至る所にできます。
顎の中にできる良性腫瘍の中で最も頻度が高いのが「エナメル上皮腫」といわれる良性腫瘍で、レントゲンで偶然発見されることがほとんどです。エナメル上皮腫は「歯」が原因で腫瘍化します。特に下顎の親知らずの付近にできることが多いので、10〜20代で発見されることがあります。「エナメル上皮腫」は進行が比較的早いため、大きくなってから手術すると大ごとになることもあります。また、嚢胞と区別するのが難しいため、親知らずなどの抜歯や検査は当院のように病理組織検査までおこなえる口腔外科に相談することをおすすめします。
悪性腫瘍は一般的に「がん」といわれるもので、その中でも「舌がん」が想像に容易いかと思います。「口腔がん」は「皮膚がん」や「膀胱がん」と同じくらいの発生率で、男性では50代以上から急激に増加します。「がん」は小さいうちに発見することが大切です。口腔がんも様々なものがありますが、ほとんどが見える場所にありますので定期的に歯科へ受診し、一緒に口腔がん検診も行ってもらうと良いでしょう。気になる口の中のできものがある際はお気軽にご相談ください。