介護業界の最前線について、神奈川県高齢者福祉施設協議会藤沢地区福祉施設連絡会の川瀬和一会長(共生会)に話を聞いた。高齢化や人手不足、感染症対策などの課題があるなか、医療との連携やICT(情報通信技術)で活路を開く。
昨年は新型コロナウイルスが感染症法上の5類に移行しました。
「高齢者の新型コロナ感染は重症化の恐れがありますので、今も多くの施設で自主的に感染対策への配慮を続けています。ですが、過剰な防御をしないように、藤沢市民病院の感染症専門の看護師を招き、研修を開催しました。実技や知識をアップデートすることで、不要な消毒をやめるなど、現場の作業負担軽減にもつながります。これからも医療との連携を深めていきたいですね」
コロナ禍では面会の制限もありました。
「感染が拡大した時期には全く行わないこともありましたが、今はマスク着用や時間制限など用心をしながら、機会を増やしています。オンライン面会の活用もありましたが、聴力の衰えた方や認知症の方などは難しいこともあり、やはり直接お会いできる時間を大切にしています」
人手不足が各業界で課題となっています。
「介護の現場では、対策としてICTの活用が進んでいます。例えば、施設入居者のオムツ交換では、その人の睡眠や排泄のリズムをデータとして科学的に把握することで巡回の数を減らすことができます。利用者様にとっても、必要のない交換で寝ている時に起こされることがなくなるなど、両方にメリットが生まれています」
介護用品の性能も向上しています。
「寝返りや床ずれを自動で防止するベッドなど、技術の進化は驚くほどです。スタッフの時間と心にゆとりができれば、別の触れ合いの機会を作ることができる。一方で、全てを機械化するのではなく、『人と人の触れ合い』は常に大切にしています。心の温かさは、たとえ時代が変わっても必要です」