とっておきの話だと親戚の娘に、知ったかぶりを披露した。
「鎌の音読みを知ってるか? 例えば、来日というが、鎌倉へ来ることは『来鎌』だ。さてなんと読む?」
答えは、鎌レンであり、来鎌ライレンだ。
鎌の音読みはケンではない。レンだ。どの辞書でもそうだ。だから数年前、鎌倉文学館が催した特別展「芥川龍之介と鎌倉:来鎌105年」図録の、「来鎌」には、ちゃんとライレンとあった(CiNii)。
ところが、先日彼女に会ったら「嘘つき、最近、鎌はレンではない。やはり、ケンだ」という。昨冬市立の美術館の展示説明に「来鎌(らいけん)」とあり、今年国宝館でも新たに市指定文化財となった江戸時代の写生図「鎌府勝景」の展示の説明に「けんぷしょうけい」とルビがあったという。つまり鎌はケンだったと。
この写生図「鎌府勝景」は、鎌倉市や図書館のHP、メディア、ネット上でも広く紹介されている。確かにルビはなぜか必ず「けんぷしょうけい」だ。
「待ってくれ。『鎌府』は鎌倉の雅名だ。ちゃんと辞書にもでている。辞書では必ずレンプだ(大漢語林/新大字典/角川漢和中辞典等)。ケンプじゃない!」
だが市役所はじめ名だたる組織がわざわざルビつけて何故かケンプ。レンプを信じろというほうが無理だ。今鎌倉で「鎌はケン」がデジタル・タトゥ化し、レンは事実上絶滅の危機にある!
だれか私のとっておき「鎌はレン」を助けて下さい!
小泉明彦










