元和元年(1615)年に曹洞宗寺院として開山し、横浜市鶴見区の矢向、江ヶ崎、川崎市の小倉などの人々の安らぎの場所となっている曹洞宗・寿徳寺。廣瀬良弘住職は、駒沢大学の学長を務めた歴史学者でもあります。
副住職はじめ寺内の僧侶も、修行の後、大学の非常勤講師などをつとめながら、住職とともにお寺を支えています。住職の研究によれば、境内にあるもっとも古い板碑というお墓は、なんと今から600年以上も前の時代のものだそうで、もともとのご本尊は阿弥陀如来さま。途中から曹洞宗寺院として改められたとも考えられ、いまは釈迦如来さまを祀っているそうです。
同寺では、この世に生まれることのできなかったお子さんを供養する「水子供養」の相談に対応しています。なかなか人には聞けない事ですが、気になっている方もいるはず。住職に実際の供養の流れを聞いてみました。
栄松山寿徳寺
南武線の矢向駅から徒歩13分。もしくは、川崎駅もしくは尻手駅・武蔵小杉駅からバスに乗り(臨港バス川55系統)、バス停「江ヶ崎」下車徒歩1分の住宅街の一角にある同寺は、山門をくぐると、山号である「栄松山」と書かれた入り口があります。
まずは客殿で受付をします。お骨があるか、位牌を立てるかなど、供養の内容を確認します。気になるお布施の目安は、1万円にてご供養していただけます。小さい水子さんのお骨をお持ちの方は3万円を目安にてご供養していただけるそうです。様々なご供養ができるそうですので、相談してみてください。
ご供養は1日最大3組までで、他の方と必ず時間をずらして対応いただけるそうですので、他の組と一緒にならないので安心です。また、現在はコロナの感染防止対策として、消毒やパーテーションなども設置されています。
まずは本堂で
さて、いよいよご供養の開始です。
厳かな雰囲気の本堂へ移動します。住職が「心を込めた供養を心掛けている」と話す通り、読経と法話が合わせて約30分ほど行われます。他の組と一緒にならないため、静かな供養の時間を持つことができます。
寿徳寺では、先祖供養・年回法事のほか、ペットなどの動物供養も行っています。いずれも法要は他の組と一緒になることはなく、丁寧にご供養いただけまるそうです。合同法要も年に一度程度行っているそうですが、2020年はコロナの感染防止のため実施は難しいということです。
永代供養塔へ
本堂内でのご供養が終わったら永代供養塔と寺内のお地蔵さまを住職と一緒にお参りします。
昨今、永代供養が一般に知られるようになる前から、同寺では様々な人のご遺骨を合同供養塔に納骨埋葬してきたという歴史があります。そんな歴史のある供養塔の前とその脇のお地蔵様で祈ります。
永代供養塔で祈った後は、様々な地蔵菩薩の前で手を合わせましょう。
山門脇にある地蔵菩薩
山門脇の地蔵堂にいらっしゃる地蔵菩薩は、江戸時代に彫られたものだそうです。左の地蔵菩薩が右手に持つ杖は「どこにでも誰でも救いに行きますよ」、左手に持つ宝珠は、「悩みや苦しみから救いますよ」という意味がある、と住職。お話を伺って、改めて手を合わせます。住職のお話を聞いていると心が穏やかになります。
同寺には、水子地蔵がいるわけではありません。同寺の考えでは、地蔵菩薩は「水子だけを救ってくれる」のではなく、もともと「すべての人を救ってくれる」ものだから、と。もちろん、親の気持ちも救ってくれるのだそうです。
しあわせ地蔵は、他の地蔵菩薩に比べて小さく、山門近くの茂みに隠れています。足元にあって見えづらい身近なもの(今、ここ。自分の生き方)を見つめ直して大切に、という「脚下照顧」の禅の教えを表しているのだそうです。
水子供養は事前予約制。まずは気軽にご相談を。もちろん電話でも大丈夫、との事です。
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