まだ見ぬ景色との出会い求めて
春休みと夏休みを使って、自転車で日本を縦断する――。逗子市立久木中学校2年、中村拓斗くんが壮大な旅に挑戦している。原動力は探求心と旅の楽しさや挑戦する大切さを伝えたいという思い。3月28日には、仲間の中学生と2人で本土最南端の鹿児島県佐多岬を出発した。四国を通り、日本海側から最北端納沙布岬を経由して、最東端の宗谷岬を目指す。総距離は約3500Km。初めて出会う人や景色に心躍らせ、今日もペダルを漕いでいる。
熱中できるもの
もともと勝ち負けで人と比較されたり、納得できないことをやらされるのが苦手だったという中村さん。小学生時代は夢中になれることがなく、中学で入った卓球部は3カ月で辞めた。
ただ、「何かやらないと」という気持ちは強く、そこで浮かんだのが自転車の旅だったという。「小学校を卒業した春休みに、広島から鹿児島まで700Kmを12日間かけて走るイベントに参加した。大変なこともあったけど現地の人との触れ合いはもちろん、ルートや起床時間などすべて自分たちで決めるのが楽しかった」と振り返る。
頼れるのは自分の力と判断、そして仲間だけ。様々なハプニングを乗り越え、目的地に到達したときの達成感を思い出し、旅を再開。新潟県に住む祖父母の家まで300Kmの道のりを2泊3日かけて訪れたり、自宅から箱根や千葉、富士山へ行くなど経験を積んだ。
今回の企画は昨年から準備を進めた。周囲の大人のサポートも受けながら、アウトドアブランド「モンベル」のチャレンジ支援プログラムに応募。1カ月かけて申請書を作成すると、熱意が伝わったのか見事受理。テントや寝袋、バッグなどの提供を受けた。
活動資金募る
しかし、アルバイトができない中学生の悩みは資金面。数年間貯めたお年玉や小遣いは自転車を新調して底をついた。育ち盛りなうえ万全の体調で旅を続けるには、飲食代も確保する必要があることから、旅をしながらクラウドファンディングにも挑戦。思いや計画、寄附の呼びかけを綴った(【URL】https://readyfor.jp/projects/56122)。8月までに食事代などの費用30万円を集めるのが目標。1口1千円からで、3千円を寄付した人には道中で撮影した写真のアルバムを送る。
また、旅の模様はインスタグラム(takuto_nakamura_)で発信中。中村さんは「それぞれの地域の魅力も伝えたい」と笑顔で語った。