課題に対峙、ひたむきに
○…登戸南武町会の会長を務めて12年半。会員約700世帯の同町会で舵を取りつつ、近隣10町会の登戸町会連合会でも会長を担ってきた。今回の自治功労賞には、複雑な思いを抱く。「立派なことはしていない。町会の役割が多岐にわたる中で、やりたいことが十分にできていない」。特に昨年から、行事開催もままならない状況。「町会が機能する1年になれば」と思いを強める。
○…生田小と稲田中、多摩高の出身で、登戸に住んで70年。会社員時代は東京・丸の内に勤め、地元は帰るだけの場所だった。そんな中、40代のころ誘いを受けて青少年指導員に。催しの準備など、「最初はみんなの後ろにくっついていた感じ。仕事は忙しかったけど、気分転換にもなった」。それから20年以上、最後は区組織の会長も務め上げた。「おかげで町のことや、いろんな顔を知ることができた。それが今に生きている」
○…町会関係や社会福祉協議会など各団体の活動に尽くす一方、元々は多趣味。小学生のころから続けているコーラスでは、都内に加え地元団体にも所属。時間があれば音楽鑑賞や読書、野草観察、通信学習で地学や天文に触れる。2人娘の父親、4人の孫の祖父としての顔も。近所に住む孫は「よく顔を出してくれる」と目を細める。
○…南武町会がある登戸駅の南東側は、昭和30年代に宅地化が進行。昔は駅から自宅までの数百メートルの間に、家が1軒だけだった。「駅前で盆踊りをやっていたことも。区画整理で登戸全体の味がなくなってしまって、寂しい」。今では多くの住民がいるが、ここ数年は町会の人手不足が課題。「まずは少しでも参加してもらうこと。一緒に行動して、住んでよかったと思えるまちにしたい」と、次代に紡ぐ。