<夢は横浜市出身初のF1ドライバー!>今季からスーパーFJに参戦しているレーサー村田悠磨さん(16)

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フォーミュラデビュー戦での走り。カーナンバーはカート時代から変わらぬ「26」(2022年3月)

 横浜から世界へ――。神奈川県立新栄高等学校(横浜市都筑区)2年/横浜市港北区在住のレーサー村田悠磨さん(16歳/ZAP SPEED RACING TEAM所属)は、今年からスーパーFJシリーズに参戦。夢のF1に向けて、新たな挑戦へと一歩踏み出している。

 スーパーFJシリーズは、国内最高峰のスーパーフォーミュラ(SF)やF1へと続く、フォーミュラ・ピラミッドの第一歩に位置づけられるカテゴリーだ。現在F1で活躍する角田裕毅選手ら、数多くのトップ選手たちを輩出しており、若手レーサーの登竜門となっている。

 2021年の全日本カート選手権FP-3部門で、参戦初年度にして見事日本一になった村田さん。国内カートレースの最高峰に位置する同選手権で優勝したことで、フォーミュラの限定ライセンスを取得した。弱冠16歳でのライセンス取得は稀なことで、今年度もカートの大会を転戦するプランもあったなか、「せっかくのチャンス。少しでも早くフォーミュラに挑戦を」とスーパーFJ参戦を決断。「カート日本一になれれば」とオファーのあった、東日本地域の強豪チーム「ZAP SPEED RAICING TEAM」に所属し、順調にステップアップしている。

全日本カート選手権で日本一に輝いた村田悠磨さん(中央)と父・竜一さん(左)(2021年11月)

手応えと悔しさの初戦

 カートとフォーミュラではマシンのサイズも大きく異なり、「アクセルの抜き方やコース取り、レースの組み立ても大きく異なる」という。特に、シフト操作やブレーキの強さの調整など、カートにはなかった細かい操作が、最速時速200kmを超すレースの中で求められ、「カートは勢いでいっていたところもあったが、今まで以上に慎重かつギリギリを攻めないといけない」とその難しさを語る。

フォーミュラデビュー戦での走り。カーナンバーはカート時代から変わらぬ「26」(2022年3月)

 迎えたフォーミュラでの初レースは、3月3日~6日にモビリティリゾートもてぎ(栃木県)で開催された「2022もてぎチャンピオンカップレース第1戦」。先輩のチームメイトについていき、予選では3位に。決勝では、スタートを見事に決めて2位に浮上する上々の滑り出しも、タイヤの温めに苦戦し5位まで順位を落とした。最終的に順位を1つ戻し4位でチェッカー。表彰台まであと一歩の結果に「自分のミスで優勝や表彰台を逃す結果になったので残念。ただ、レースペースはよかったので、ミスせずしっかりと実力を出せれば戦っていけると自信にもなった」と悔しさと口にした。

父や地域の支えを胸に

スタート直前に言葉を交わす悠磨さんと竜一さん(2021年11月/全日本カート選手権最終戦)

  カーレースとの出合いは、小学1年生の頃。車好きだった父・竜一さんの影響で、秦野市のサーキット場でカートに乗ったのが始まりだった。そこから1年ほどでレースに出場するようになり、国内トップクラスのドライバーへと成長していった。常に一番近くで支え応援してきたのが竜一さん。カート時代は、メカニックとしてサポート役を務めてきた。マシンの規模も変わった現在は、技術面でのサポートはチームに任せているが、常にレースには帯同し、精神面で悠磨さんを支えている。竜一さんは「(息子は)大舞台にも緊張しないタイプだから。やることといえば、息子と車を自宅からサーキットまで無事に送り迎えすることだね」と笑顔を見せる。

 その送迎には、地域からの温かい応援も。今シーズンからはレース用のマシンも一緒に運ぶため運送用の大型トラックが必要となるなか、年明けに、偶然自宅近くで適した車両を見つけ飛び込みで直談判に。車両の保有会社は、運送業や自動車販売を行う「エヌズ・ゲーム株式会社」(本社/都筑区池辺町)。すると、偶然にも担当者がレース好きで、さらに悠磨さんと同じ中学校出身であった縁から、車両提供を快く受け入れてくれたという。

 地元からの支援は他にも。横浜市スポーツ協会からは、2021年からトレーニングサポートや広報活動の支援を受けている。また、地元・港北区にあるスポーツクラブ「メガロス綱島店」(港北区綱島西)も、フィジカルトレーニングのバックアップを行っている。

 悠磨さんは「地域からの応援はとてもありがたいし、励みになる。ワクワクするレースを見せて結果で恩返ししたい」と、周囲への感謝を胸に、さらなる活躍を誓う。

全日本カート選手権最終戦には、父・竜一さんの会社の同僚も応援に駆け付けた

F1の世界を夢見て

 多くの日本人トップドライバーを輩出してきたレーサー育成プログラム「ホンダレーシングスクール鈴鹿(HRS)」にも今年から参加し、マシンやレースの知識を学んでいる。HRSや所属チームでは、OBのトップドライバーらと接する機会も多くそこでのアドバイスも有益な時間になっている。

 また、サーキットでの練習は数に限りがあるなか、自宅では毎日のように、アプリを使ったシミュレーションゲームでレース感覚を養っている。現役のトップ選手も含め、世界中のレーサーが活用している同アプリ。参加者同士で対戦できるため、現役F1ドライバーで過去に2度のワールドチャンピオンにも輝いているスーパースターのフェルナンド・アロンソ(スペイン)選手とレースをしたこともあるという。「自分の前を走っていたから、直接競うことはなかったけど、レースの組み立てや攻め方など後ろから見ていてすごい走りだった」と間近で体験するトッププロの走りは学びと刺激になっている。ちなみにそのレースでは「(アロンソは)リタイアしてしまったから、最終的には僕のが順位は上だった」というこぼれ話も。

 そんな憧れのドライバーたちが待つF1の世界へ向けて、まずは今シーズンのスーパーFJで初年度優勝を目標に掲げる。「日々の練習や他のレースを見るなどして、車への理解を深めていきたい。デビューウィンはできなかったけれど、残りは全戦優勝を目指してチャンピオンに」と夢の実現に向けて、アクセル全開で突き進む。

 

住所

神奈川県横浜市都筑区

公開日:2022-04-07

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