足柄上地域の茶畑で新茶の収穫が始まり、生産農家が茶摘み作業に追われている。4月25日には、南足柄市矢倉沢にある茶畑で柏井良一さん(66)が早生品種の「さえみどり」の収穫に汗を流した=写真。
柏井さんによると、今年は3〜4月に大きな寒暖差があったものの、収穫時季や収量ともにほぼ例年通り。昨年の2日遅れとなった初摘みのこの日は、2人で茶刈り機を操って、みずみずしい生葉約240キロを収穫。「今年も良くできた。甘みを感じる美味しいお茶を多くの人に飲んでもらいたい」と話していた。
収穫された生葉はすぐに加工場に運び込まれ、機械で蒸したり、揉んだりする工程を経て、荒茶に仕上げられた。
神奈川県農協茶業センターによると、収穫作業は各地で5月中旬まで続くといい、全体では101トンの集荷を見込んでいる。できあがったばかりの新茶は今月から茶業センター直売所などで販売されている。
足柄茶は、関東大震災で被害を受けた山村の産業復興策として、足柄上郡清水村(現山北町)で栽培されたのが始まり。1960年代に県西北部や丹沢山麓を中心に一大茶産地が形成された。近年では全国茶品評会一等の連続受賞をはじめ、各種の品評会などでも毎回上位に入賞している。