日本トップクラスのマグロ漁船数を誇る住吉漁業㈱(磯前昌宏代表取締役社長)の遠洋マグロはえ縄漁船「第三住吉丸」(全長50m/459トン)が6月11日、大西洋に向けて初出航した。三浦市に拠点を置く会社の新造船出航は9年ぶり。この貴重な瞬間を一目見ようと、出航式が行われた三崎漁港花暮岸壁は多くの人々で賑わい、祝福ムードに包まれた。
遠洋マグロはえ縄漁船10隻、海外まき網船2隻を保有する同社。船の建造には億単位の額が必要なため、国の補助金を活用して22年ぶりに新船を造った。7月中旬からマグロを狙い、11カ月後に帰国する予定という。
「乗組員の高齢化により人材不足が深刻」と磯前社長は、若手育成にも力を入れており、同船には海上技術短期大学校を卒業したばかりの小林航さんが乗り組んでいる。福岡県から訪れた母の美穂さんは「小さな頃からの夢が叶って良かったね」と少し涙ぐみながら、カラフルな大漁旗がはためく船に呟いた。
汽笛とともに船が離岸すると、紙テープを持った関係者たちが「でっけぇマグロ獲ってこーい」などと声を掛けた。