園芸店の常識を覆す進化系園芸店
「命ある植物を大切に扱っていきたい」と考える厚木市妻田西に育てられなくなった鉢植えや度重なる植え替えで使われなくなった鉢を再利用する新しい園芸店「らくうぇる」がオープンしました。早速、お店に取材に伺いました。
「園芸店の環境意識の改善を図る必要を感じて店を始めた」
大和市で飲食店を経営する佐藤オーナー、コロナ禍で店を閉めていた時に閑散としていた店の周囲も街中の雰囲気を少しでも払拭できればと窓越しからでも楽しめるように店内に観葉植物を飾り付けたのきっかけで園芸を始めたといいます。
「外からでもホッとするような景色を作りたくて園芸を始めました。増えていく観葉植物の手入れをするうちに、土も鉢も植物同様に増えていきました。購入した園芸店に相談をするも、店は植物を売るだけで、その後の面倒は見ないということに疑問をもったわけです」。
佐藤オーナーの趣味は渓流釣りで、釣り人の環境保全の意識は非常に高いと話します。「環境のことを考えたら土も鉢も単純に増やしていくことが正解だとは思えない」と言葉を強めます。
「集まる観葉植物と植木鉢」
店を始める前に声を掛けたところ、次々と観葉植物と使用されなくなった鉢が集まりました。
お店では残念ながら何でも買い取りをしてくれるわけではないとのことです。時代に合ったものや希少価値があるものが優先となります。ただし、引き取りという形で家で世話が難しくなった観葉植物や植木鉢の引き取りを行ってくれます。
「買い取りポイント」
- 流行りの植物かどうか
- 収集家がいる植物かどうか
- 再生した際に購入者がいるかどうか
一例を挙げるとこんな感じです。次の人に“託す”ということを考えた上で、お店に引き取りをお願いする方が良いと思いました。
「オンリーワンの鉢植えを楽しむ」
お店では通常の観葉植物に加え、センスの良い多肉植物の寄せ植えや流木を取り入れたオシャレな観葉植物など多種多様な植物が購入できます。植物園のような雰囲気を楽しむだけでも癒される空間となっています。再生した観葉植物を活かした寄せ植えや大事に育てられた見栄えの良い鉢植えに佐藤オーナーは「面白さを感じてもらえたら」と話します。
それにしても流木を使った植栽も、カットグラスを使った多肉植物の寄せ植えは社内のインテリアとして購入したいくらいです。
「店内に全天候型の植え替えスペース」
お店の中には広々とした植え替えスペースを設けてあるので、気に入った観葉植物を気に入った鉢に植え替えて購入することもできます
また持参した植物の植え替えを必要な鉢を購入して、その場で植え替えて持って帰ることも可能です。自宅に作業スペースがない人や家を汚したくない人、ちょうど良い鉢を見つけたい人にお勧めです。
植物に詳しいスタッフと一緒に作業をすることもできるので、園芸ビギナーにもお勧めだと思います。
足元から天井まで緑溢れる店内
モットーは「楽に植える・楽しく植える」
園芸歴2年の佐藤オーナーは「誰もやったことがないことを始めたので、このお店の未来が楽しみ。実際、終活中の人たちからのお声がけも多く、需要はあると思う」と。園芸の新たな楽しみ方、時代に沿って無駄をなくす取り組みを知れば知るほど〝今ある身近なもの〟を大事にしようと思いました。
【記者の目】
洋服や家具、雑貨のリユースが当たり前の時代、植物のリユースがあってもおかしくはありませんでしたが、これまで、そのような店に出会ったことはありませんでした。大切に育ててきた観葉植物を手放す必要が出てきたり、漫然と育てている観葉植物を愛おしく感じてもらえる人に手渡し、その命を繋ぐ役割を自ら手を挙げた佐藤オーナーの発想に驚かされました。
「再生するのに3年はかかるかなぁ」なんてのんびりとした口調で引き取ってきた観葉植物について話をしてくれた佐藤オーナーからは、少しでも自分が関わる身の回りの環境問題に真剣に取り組む姿勢を感じました。