箱根町強羅の旅館「円(まど)かの杜」がこのほど、水素ガスで調理ができる器具を導入し、7月末から一部、水素調理による食事を提供している。
LPガスの代わりに、水素ガスを燃焼することで二酸化炭素の排出をゼロに抑えることができるという。今年末までに2種類のコンロ5台を導入する予定だ。器具の提供や技術指導を行った株式会社H2&DX社会研究所(東京都千代田区)の福田峰之代表取締役によると、導入事例は世界で初めてで、コンロ5台分で年間3・6トンの二酸化炭素排出量を削減できるという。
水素ガスはLPガスと比べ2・5〜3倍のコストがかかるが、同旅館女将の松坂美智子さんは「箱根は自然の恵みを受けている。自然と共存していくことが必要」と話す。2019年の台風で館が損壊する水害を受けていたこともあり、環境保全に懸ける強い思いがある。
福田さんは「ここでの取り組みが評価され、意識する旅館が増えることを望む。世界の飲食シーンから二酸化炭素排出をなくしていければ」と話した。