川崎区扇島のJFEスチール東日本製鉄所(京浜地区)は9月16日、第2高炉を休止する。それに先駆けた9月7日には報道関係者へ現場を公開。工場のある扇島地区の跡地利用の構想についても説明した。
JFEスチール
JFEスチールは、1912(明治45)年に南渡田地区で日本鋼管川崎製鉄所として創業。以来100年以上にわたり京浜工業地帯の発展の一翼を担ってきた。
現在の扇島には76年に製鉄所が完成し、第1高炉に火入れ。第2高炉は79年に稼働を始め、90年に一度は休止となるが、2004年に生産を再開した。
国内外の需要の減少を受け、同社は2020年に国内生産性の最適化を目的とした構造改革を発表し、製鉄所のシンボルともいえる高炉の休止を決めた。高炉の他に、生産した銑鉄の不純物を取り除き鋼にする転炉、鋼を片に加工する連続鋳造設備などが休止となり、解体される。
次世代の街づくり
説明会で古米孝行所長は「100年以上にわたって灯し続けた火が消えてしまうのは残念でやりきれない思いがある」と複雑な心境を話し、「新しい都市型の製鉄所を目指し前を向きたい」と語った。
土地利用構想「OHGISHIMA2050」
この日は、同社が高炉休止後に目指す扇島地区の土地利用構想「OHGISHIMA2050」も発表された。
対象となる土地は222ヘクタールの広さで、先導エリアと共創エリアに分けられている。先導エリアでは水素等の次世代エネルギ―供給拠点づくりが進められ、共創エリアでは次世代モビリティや高速情報基盤など最先端のインフラを整備し、デジタル分野をけん引する産業や商業、文化・生活などの機能を誘致する。2050年にまでに整備することを目指すとした。