新丸子出身の吉水奈翁(なお)さん
2023年10月28日の決勝で南アフリカが優勝し幕を閉じたラグビーのワールドカップ(W杯)フランス大会。日本代表は1次リーグで敗退したが、国内を熱狂させた代表チームを通訳として支えたのが新丸子出身の吉水奈翁(なお)さん(45)だ。
ジェイミー・ジョセフHCら外国出身のスタッフや選手が多いチーム環境の中、作戦伝達や取材対応で任務を果たした。帰国後「結果は残せなかったが、日本からの声援は大きな力になった」と感謝を口にした。
心まで伝えたい
ラグビーを始めたのは5歳。父がコーチをしていた川崎市ラグビースクールでプレーした。遠征先のニュージーランドに父が魅了され、中2のときに家族で移住。30歳のころ、現地で日本人初の警察官として採用された。6年勤務した後、ラグビーの通訳という仕事を知り、帰国して国内のトップチームで通訳を務めることに。4年前、国内で開催されたW杯で日本代表が戦う姿を見て芽生えた「いつか日本代表で通訳をしてみたい」という夢をつかんだ。
通訳で気をつけているのが、言葉をそのまま伝えないこと。「熱い感情や心、言葉の奥にある思いを酌んで伝えるように心掛けている」。コミュニケーションを重視し、言葉以上の気持ちまで理解できるようになった。次の戦場はリーグワンの「静岡ブルーレヴズ」。W杯の経験を生かし、新たな一歩を踏み出す。