小田原市の山林でマウンテンバイク(MTB)施設などを運営する(株)T─FORESTRYがこのほど、国土交通省から「自転車活用推進功績者」として表彰された。全国から1個人と4団体が選出され、神奈川県からは同社が唯一の選出となった。
二酸化炭素の低減や自動車依存を抑制しようと2017年に施行された「自転車活用推進法」。表彰はこれに基づき、自転車活用の顕著な功績に対して行われている。同社の表彰は、初心者に焦点を当てた施設「フォレストバイク」でのMTB普及や、近隣団体と連携した地域活性の取り組みが評価されたものだ。
江戸時代から市内久野と荻窪の藩有林で林業が行われてきた「辻村農園・山林」を管理するT─FORESTRY。森林経営の一策として2010年、樹上アトラクション施設「フォレストアドベンチャー」を開設し、17年にオープンしたのがフォレストバイクだ。欧米で人気が高まっていたMTB施設を先駆的に導入したもので、現在は海外からの旅行者なども含め、年間約5000人が訪れている。
同社統括マネジャーで施設の導入を進めた鈴木毅人さんは「森林所有者とMTB利用者の視点を融合し、新たな林業経営と自転車文化を育んでいければ」と語す。
森林活用の可能性
今回の表彰を受け、6月6日に同社の辻村百樹代表取締役=人物風土記で紹介=と鈴木さんが加藤憲一市長を表敬。「MTB施設を林業の次の一手に」(辻村代表)と今回の表彰の背景などを報告した。加藤市長は「元々の森林利活用が進化していると感じた。これまでと違う可能性を開く事業」と今後の期待を語った。