禅宗寺院の法堂や仏殿の天井には龍の絵(雲龍図)がよく見られる。龍は仏の教えを人々に伝えるといわれ、天井に龍を描くのは修行僧に「法(教え)の雨を降らす」という意味があるのだという。雲龍図は、かつては狩野派の絵師によるものが多かった(京都では狩野探幽による妙心寺法堂の雲龍図、狩野光信による相国寺法堂の蟠龍図、鎌倉では狩野雪信による常楽寺仏殿の雲龍図など)。しかし、今日では近現代の画家によるものも多い。
鎌倉五山第一位の建長寺法堂にも雲龍図が描かれているが、これは2000年(平成12年)、建長寺創建750年記念事業の一環として、鎌倉市十二所在住の日本画家・小泉淳作画伯(故人)により描かれたもので、縦10メートル、横12メートルという迫力ある大きさである。龍の爪は5本描かれている。以前の日本の雲龍図は3爪で描かれることが多かったが、近現代では小泉淳作画伯、加山又造画伯などにより5爪の龍が描かれている。
小泉淳作画伯は京都の寺院にも龍の天井画を描いている。祇園にある京都五山第三位の建仁寺法堂の双龍図がそれであり、2002年(平成14年)に建仁寺創建800年記念として描かれたものである。
小泉淳作画伯が描いた龍の天井画を鎌倉で、そして京都でも鑑賞してみてはいかがでしょうか。
山東直大