代替策は動画配信ー新型コロナ禍で中止企画ー
新型コロナウイルスの感染拡大で活動がままならない事業者や団体が、インターネット動画を利用した発信に取り組んでいる。これまでのサービスの代替手段として活用されているが、コミュニケーションの一手法として発展しそうな可能性も秘めている。
自宅で観る聴く歌う
クラシックを中心にしたプロの演奏家による「よこすかの音楽家を支援する会」は3月30日、はまゆう会館で開催予定だった「歌声の会」をWEB配信で行った。本来は、演者と参加者が唱歌や歌謡曲を歌う企画だがあえなく中止。YouTubeを利用し、同時刻に「おうちで歌声の会」と題して同会のピアノスタジオから配信した。「イベントの自粛など、外出する機会も減っている。そんな時こそ、音楽ができることを模索したい」と同会代表理事でバリトン歌手の宮本史利さん。今回の動画はアーカイブとして残しており、2回目の配信を4月27日(月)に行う予定だ。
同会のメンバーが出演する演奏会が中止になったことを受けて、ミニコンサート動画も制作した。宮本さんは「ホールに足を運んで演奏を聴くきっかけになれば」と新たなファン層の開拓にも意欲を見せる。
作家が作品解説
3月4日から休館している横須賀美術館では、今4月12日まで開催予定だった企画展「長沢明展 オワリノナイフーケイ」の展示を動画で紹介している。約2カ月の会期のうち、開館できたのは3週間ほど。予定していたアーティストトークも中止になったが、作者の長沢さんが来館していたことから、同館の学芸員らが動画での紹介を思いついた。職員が撮影し、制作の経緯や意図を長沢さん本人が説明している。展示室ごとに約1〜2分、6つの動画があり、同館の公式ツイッターとフェイスブックで発信。再生回数が計8千回を超えるものもある。
画面に合わせて運動
根岸町のリハビリデイサロン「海」では、感染を避けて通えずにいるデイサービス利用者に向けて、運動の継続を呼び掛けるメッセージを動画で届けている。「画面越しでも言葉を掛けてくれる人がいたらうれしいはず」。スタッフのアイデアで専用チャンネルを立ち上げた。
「自宅でできる体操シリーズ」と題して、身体機能の維持回復を目的としたリズム体操のほか、身の回りの器具を用いた運動を紹介している。
久里浜にあるあゆみ鍼灸整骨院では、地元で無料開催していた体操教室が休止。体力低下などのリスク回避のため、体幹や腹筋、腰回りのストレッチなど年配の人でも気軽にできる体操動画を制作している。同社がスポンサーとなっているバスケットボールチーム「横浜ビーコルセアーズ」のチアリーダーが”先生”に。担当者は「動画から元気を発信したい」と語った。