長期戦も視野に
新型コロナウイルスの感染拡大で客足が落ち込む飲食店が、テイクアウトやデリバリーに活路を見いだそうと必死だ。看板メニューを弁当仕様にアレンジして提供する店舗もあれば、一品追加サービスを用意するなどして、リピート客を掴もうとしているところもある。苦境に立たされている飲食店を応援しようと、テイクアウトのメニュー情報などをSNSやホームページで発信する有志の動きも広がり始めた。双方はコロナの終息を願いつつ、長期戦も視野に入れた活動にシフトし始めている。
Webサイト「ヨコスカイチバン」
外食を控える気配が漂い始めた3月初旬。いち早く動き出したのが横須賀商工会議所だ。会員企業を紹介するWebサイト「ヨコスカイチバン」(【URL】https://www.sukaichi.com/)にテイクアウトとデリバリーを行う店舗の特集ページを開設。すぐさまメディアの目に留まり、複数のテレビ情報番組の取材を受けるなど注目を集めた。現在は各店のメニューの写真を増やすなど掲載内容の充実化を図っている。
チラシ作成も
横須賀中央でそれぞれ別の飲食店を営む30代の経営者3人は、テイクアウトメニューに特化したPRチラシを共同で製作。今週末に折り込み配布する。「中華・イタリアン・洋風居酒屋のバリエーションをアピールするとともに、エリア一帯で取り組む姿勢を示した」と陳寛明さん。スタンプラリーは、常連客に他店利用を促すためのアイデア。3店制覇すると食事券がもらえるサービスも用意した。
陳さんは今と同じ状況が来月6日以降も続くことを想定しており、賛同店を募りながら飲食業界の活力維持に努める考えだ。
クラファンで飲食店応援
クラウドファンディングの手法を使って、飲食事業者を直接的に支援する動きもある。「横須賀ショップ応援団!」(【URL】https://www.yokosuka.fun/)の名称で、市内の経営者らが実行委員会を立ち上げた。テイクアウトなどの商品を「買う」のではなく、応援する店舗を指定して、一定金額を支払う方式。3千円・5千円・1万円の食事券に手数料10%を上乗せしたものを購入する。リターンとして店側はクーポンを用意し、ワンドリンクなどプラスαのサービスを提供する。このほかにエリアやプロジェクト全体への支援(1万〜50万円)も募る。支援の決済はネット上で行う。
「自粛と葛藤、でも力に」
Webライターの細山麻実さん=写真右=と汐入町で「カギロイ」を営む松田一希さんが発起人となり、SNS上に「横須賀テイクアウト大作戦」を開設。各店を利用した人が写真と応援コメントを投稿する際、検索性を高めるために「#いいじゃんお持ち帰り」のキーワードを共有して情報拡散する取り組みだ。細山さんは「外出自粛要請の中で、PR発信すること自体が正しいことか、自問自答を繰り返している。でも飲食店の力になりたい」と揺れる心情を打ち明けた。