新型コロナウイルスの影響でコンサートの自粛などが続く中、新日本フィルハーモニー交響楽団の楽員有志による「テレワークオーケストラ演奏会」のユーチューブ動画が大きな話題を呼んでいる。米津玄師の人気曲「パプリカ」を演奏した動画は、公開から1カ月で110万回以上再生された。参加者には大磯高校吹奏楽部出身のバストロンボーン奏者・鈴木崇弘さん(26)も名を連ねている。
音楽の力 信じる
公開されている動画は、約60人の楽員がそれぞれの自宅で演奏する姿をスマートフォンなどで撮影し、それらをオーケストラのように1本にまとめて編集したもの。「音楽を届けることを止めてはいけない」と同楽団の副首席トロンボーン奏者・山口尚人さんが立案して賛同者を募り、クラシックに限らず、より多くの人に聞いてもらおうと選曲した。視聴者からのコメント欄には「心が癒された」「元気をもらい、頑張ろうと思った」などの声が多数寄せられている。
テレワーク合奏ならではの苦労も
「コロナの影響で暗い話題が多い中、音楽の力でたくさんの人にポジティブなものを届けたいと思った」と参加の理由を語る鈴木さん。湯河原の実家や横浜市の自宅で演奏動画を撮影し、自身のユーチューブチャンネルでも不定期に演奏動画を公開しているという。パプリカでは他の奏者の音を聞かずに、共通の音源を聞いて演奏する形だったため「音程やリズムのニュアンスなど想像で補うしかない部分もあり、デモ音源に合わせて音程やタイミングに問題がないか何度もチェックした」とテレワーク合奏ならではの苦労を振り返る。
想像を超える反響に「企画者の山口さんと、観て頂いた皆さんに感謝。これからもテレワーク演奏や無観客配信などの活動を続けることになると思うが、音楽の力を信じて取り組んでいきたい」と思いを語った。