「子どもたちには幼い頃から『本物』に触れることで、豊かな感性を育んでほしい」。そんなお父さん、お母さんの願いに寄り添ったユニークな学童保育施設が鎌倉にあると聞いて、取材に伺いました。
築90年の古民家を利用
民間学童保育「鎌倉学び舎」は自然豊かな鎌倉のなかでもとりわけ緑の深い鎌倉山にあります。施設として利用しているのは築90年を超える古民家。そこをリフォームし2016年にオープンしました。
その特徴は何と言っても三味線や日本舞踊、茶道、華道、書道、鎌倉彫といった伝統文化の「お稽古」をカリキュラムに加えていること。施設を運営する潮見雅利さんは「古都・鎌倉には伝統文化の担い手がたくさんいるのに、子どもたちがそれを学ぶ機会は意外にも少ない。だったら学童と融合させられないかと考えました」と話します。
伝統文化の担い手が『先生』に
取材に訪れたのは鎌倉彫のお稽古の日。全10回のコースで、彫刻刀の基礎的な使い方を学んだあと、子どもたち一人ひとりが考えたデザインの作品を完成させます。
真剣な表情で彫り進めていく子どもたちを優しく見守り、時にアドバイスを送っているのは三橋鎌幽さん。鎌倉時代から続く家系に生まれ、次代を担うと将来を期待されている鎌倉彫職人です。「モノづくりに正解はありません。子どもたちには自由な発想とそれを表現する楽しさを感じてほしい。そして鎌倉彫の伝統にも触れてもらえたら」と笑顔で話します。今後、完成した作品の展示会なども計画しているそう。
- 「伝統文化を学ぶことで、礼儀作法や日本人としての精神的な基盤を育み、現代を生き抜くためのコミュニケーション力、自分で考え伝える力を身に付けてもらえたら」と潮見さん。
公立の学童保育との併用や月1回だけの「スポット利用」も可能とのことです。
北鎌倉校が2022年4月にオープン
好評を受けて「鎌倉学び舎」では、JR横須賀線北鎌倉駅そばに2022年4月、新たに北鎌倉校をオープンさせるそうです。潮見さんは
- 「受け入れ可能な学区も拡大しより広域な地域の皆さんを受け入れられるようになります。個別相談会も予定していますので、興味のある方はご連絡ください」と呼びかけています。