秦野市鶴巻地区にある大根川と善波川沿いには、約2・7キロメートルに及ぶ遊歩道があります。春は桜、初夏はアジサイ、秋は酔芙蓉など1000に及ぶ四季折々の花と田園風景を楽しめる人気スポットの1つとなっています。今年もアジサイが開花し、訪れる人の目を楽しませています。「鶴巻あじさい散歩道」の愛称で親しまれるこの遊歩道は、地域住民のボランティアで管理しています。
活動のきっかけは、1991年に台風18号が市内に被害をもたらしたこと。当時は大根川ポンプ場がなく、この台風の影響で床上浸水が54戸、床下浸水が84戸にのぼった。善波川周辺の土手が荒れ果て、それに伴い不法投棄も増えたということです。当時、鶴巻第二自治会の会長を務めていた原秀夫さん(92)は「自治会で清掃していたが、しばらくするとまた荒れてしまった。花を植えれば、きれいな状態を保てるのではと考えた」と、振り返ります。
そこで市を通じて土手を管理する神奈川県に申請し、95年に使用許可が下りると災害に強く、根が深くて土砂の保全にも役立つという「アジサイ」を160株植栽しました。98年には公募で遊歩道の愛称が「鶴巻あじさい散歩道」に決まりました。その後、鶴巻地区自治会連合会で有志を募り、美化ボランティアを継続的に実施。アジサイの寄付も寄せられた。この美化活動は大根川にも広がり、現在は「鶴巻あじさい散歩道美化の会(清水義雄会長)」と「鶴巻親水遊歩道の会(宮川邦生会長)」、「善波川あじさいロードの会(天野吉雄会長)」、「大根川あじさいの会(大古場豊会長)」の4団体が毎月1回、草刈りなどを行っています。
原さんは「田園風景も広がり、気持ちの良い場所。ぜひ多くの方に楽しんでいただければ嬉しい」と話しています。