「伝えたいことを映像で」横須賀市久里浜で映画撮影

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「伝えたいことを映像で」横須賀市久里浜で映画撮影

京急久里浜駅近く、黒船仲通り商店街とすずらん通り商店街を舞台にした映像作品が完成した。活性化に奮闘する商店街の現実の取り組みをベースにしたショートストーリー2本で、「You Tube」で10月7日㈭から公開する。コロナ禍で集客イベントが打ち出せない中、映像作品の配信という手法で商店街の〝元気〟をアピールする。

横須賀総合高校美術部の生徒がシャッターアートの制作に挑む青春ストーリー『久里浜グラフィティ』と、商店街の若手有志でつくる「team黒船」が運営する高齢者向け宅配サービスを題材にした『心のおつかい便』の2作品。

地域発信型の映画『スカブロ』(2017年公開)で知られる市内舟倉在住の矢城潤一監督が手掛けた。横須賀を舞台にした小説作品を数々発表している作家の清水タケルさんの原作を7分から8分の短編映像に仕上げた。

コロナ禍以前、黒船仲通り商店街ではステージを組むなどして多彩なイベントを実施していた。地元中学校・高校の吹奏楽部に発表の場を提供してきたほか、小学生の職場体験を商店街で丸ごと受け入れるなど次世代の応援に力を注いできた。

その延長線上として全国レベルで活躍している横須賀総合高校美術部との連携を検討する中で、「シャッターアートを描いてもらうことを思いついた」と橋本篤一郎理事長。同部に撮影を含めた協力を呼び掛けたところ、卒業生らが応じてくれ、今回の企画が実現した。これをきっかけに同校(同部)との関係をさらに深めていくという。

「おつかい便」の取り組みは、スタートして7年になる。採算ベースに乗せるのはなかなか難しく、ボランティアの域を出ないが、商店街と地域住民をつなぐ手段として、継続・発展させたい考えだ。「商品配達+α」の価値の提供を強みにしていくことを目指しており、映像作品ではその部分を伝えている。

この2作品とメイキング映像は、黒船仲通りのアーケード内に設置したモニター画面で毎日流される。久里浜商店会協同組合公式サイトでも近く公開する予定だ。

映画監督 矢城 潤一さん

今回手掛けた2作品は、商店街が実際に行っている取り組みや出来事を題材にしています。主役をはじめとするキャストの大半がプロの役者ではなく、地域の若者や商店街関係者です。私自身、数々の経験の中でこうしたアプローチは初めてのこと。不安はありましたが、エキストラ役などを含めて商店街の皆さんが率先して協力してくれたことで成立させることができました。

▼『久里浜グラフィティ』は、横須賀総合高校美術部の卒業生が出演しています。演技経験こそありませんが、素晴らしい感性の持ち主で、こちらも刺激を受けました。ドキュメンタリータッチの『心のおつかい便』は、商店街が提供しているサービスの本質的な部分を表現しています。

▼映画は、ひとつの作品を、みんなの力を結集させてつくりあげていくものです。今回、それに挑んだ行動にこそ意味があり、映像が商店街のリアルな姿や時代の空気を伝えています。

▼久里浜の取り組みに触発された別の商店街が「負けられない」と立ち上がったり、「俺たちのほうがもっといいストーリーがあるぜ」と作品づくりをスタートさせたりと、前向きな競い合いが生まれることを期待しています。

黒船仲通り・すずらん通り商店会特設ページへ

住所

神奈川県横須賀市

公開日:2021-10-06

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