今や毎日の食卓に欠かせないキムチ。多くの焼肉店が軒を連ねるコリアタウン川崎で行列ができるキムチ専門店として、ひときわ人気を集めるのが「おつけもの慶」です。各地の百貨店や駅構内の催場に出店すると、たちまち大勢の人が足を止めて購入する光景が見られます。
- 「一度食べたらやみつきになる」「普通のキムチとは違うコクのある豊かな味わい」。 購入者からはそんな声が聞こえてきます。
「おつけもの慶」とは?
「おつけもの慶」は、川崎市川崎区桜本の青果店「グリーンフーズあつみ」を営む渥美和幸社長が野菜の美味しさを多く人に知ってもらおうと模索する中、キムチづくりの職人・城野勝さんと出会ったのを機に始まりました。「日本と韓国の融合した街(桜本)の文化を継承するの思いも込めている」とも渥美社長は言います。
- キャッチフレーズは「あごが落ちるほど旨い慶キムチ」。野菜の目利きである渥美社長がその時々の旬のこだわり野菜を仕入れ、城野さんをはじめとした職人たちがキムチにしています。
渥美社長は日本一の卸売り会社「東京青果」の協力の下、産地に足を運び、目に適った野菜を仕入れます。「一口に白菜と言っても地域によって旬の時期は変わる」と渥美社長。「王道・白菜キムチ」の場合、冬場は茨城県結城市のブランド白菜「菜黄味」、夏場は長野県佐久穂の名人農家井出清人さんたちの白菜を仕入れているといいます。
メディアで話題!味の決め手は?
キムチづくり約40年の職人・城野さんはかつて川崎区の焼肉の名店として知られた「慶北苑」で腕を振るっていた経験があります。城野さんによると、慶キムチのヤンニョム(たれ)は、コクやうまみを引き出すため、りんご、イカの塩辛や白桃缶を加えているのが特徴だといいます。
- 塩加減などは素材やその時々によって絶妙に変えるのも職人のなせる技です。
渥美社長は「野菜の数だけキムチはある」といい、月替わりで旬の野菜を使ったキムチを販売しております。またイカの中に王道・白菜キムチとカクテキ、オイキムチをたっぷり詰め込んだ「元祖!おなかいっぱいイカキムチ」は、ネットで最大6カ月待ちになるほどの人気商品で、多くのメディアに取り上げられています。
先を見据える慶キムチ
たった一坪のお店からスタートし、大島上町に工場を備えた店舗をオープン、桜本商店街「グリーンフーズあつみ」でも本格販売、川崎駅地下街「川崎アゼリア」にも店舗を構え、2021年には京急川崎駅ホーム横浜方面行きの列車が発着する4番・5番ホームにも店を開店しました。
夜中でも慶キムチをかってもらえるよう、ホームには慶キムチの自動販売機も設置。インスタ映えする名スポットになりつつあります。
- 最近は「キムチを通じて川崎を盛り上げたい」と地産地消キムチやパッケージの脱プラを進め、キムチづくりの工程で出た白菜の端材は野毛山動物園で活用してもらうなどSDGsにも力を注ぎます。
「おいしいだけではない。Z世代のために貢献するキムチをつくり続けたい」と渥美社長は語ります。