南足柄市が「相模人形芝居足柄座」と「足柄ささら踊」の後継者育成講座を5月7日から開講する。地域に伝わる伝統芸能を後世に残そうと、毎年開かれている。
講座は「相模人形芝居足柄座」と「足柄ささら踊」を知ってもらおうと、1990年にスタートした。
市によれば、記録が残る2010年以降からこれまでの受講者は合計24人で、伝統芸能を継承しようにも活動人数の確保に苦心しているというのが実情だ。それでも灯を消すまいと、後継者確保や知名度向上に向けて毎年講座を開いてきた。今年も3月25日から受講生の募集を開始したが、取材時点で申し込みはない。市は「敷居が高いイメージがあるかもしれないが、基本から教えるので未経験者も安心して参加を」と呼びかける。
地域の文化見て・体験
「相模人形芝居足柄座」
相模人形芝居は、江戸時代に相模国に広まった人形浄瑠璃のひとつで、1体の人形を3人で操る「三人遣い」が特徴だ。県指定の無形民俗文化財になっており、県内5座が技法を継承している。
講師を務める足柄座(武藤瑞乃座長)は、結成50年以上の歴史を持つ一座。約15年前には24人が在籍していたが現在は18人にまで減少。加えて半数が75歳以上となっており、体力や家庭の事情などから、定期的に活動できるメンバーが少ないという。武藤座長によると、公演には裏方を含めて少なくとも10人が必要で「登場人物が多い演目は現状では対応できないこともある」と話す。開講に向け「3人で協力して演技するのが人形芝居の魅力。講座でその楽しさを伝えたい」と意気込んでいる。
「足柄ささら踊」
一方の足柄ささら踊は、江戸文化の最盛期に江戸の小町踊りと木曽の七夕踊りを組み合わせて誕生した。市内7地区で振り付けや小道具が異なる踊りが伝わっており、国の選択無形民俗文化財になっている。
足柄ささら踊保存会(金井佳代子会長)には現在26人が在籍。金井会長は「講座が入会者増のきっかけになれば」と期待を寄せる。
いずれも受講無料。足柄ささら踊りは内容上、女性のみの募集。詳細は市HP。問い合わせは市文化スポーツ課【電話】0465・73・8062