本牧山頂公園に歴史解説板が13基、3月中に整備された。そのうち6基は同園レストハウス内に展示されている。市の公園整備の一環として10年ほど前から地元住民らとともに検討されてきたプロジェクトが形になった。
写真と解説からなる個別の歴史解説板が園内の7カ所に、またレストハウスには街づくりの歴史をたどることができる6基(枚)のパネルが設置された。内容は「ムラからマチへ、本牧の街づくりの歩み」「横浜開港・文明開化」「横浜市本牧町誕生」「関東大震災・復興」「戦災・接収」「埋立て・新本牧の街づくり」だ。
新旧の景観を比較
個別の解説板は、過去と現在の景観を眺め、併せてその地の歴史を知るというユニークなコンセプト。写真などで知りうる過去の景観を、撮影地とほぼ同じ場所から眺めることができる。三溪園や富士山などを臨む場所もある。
7基のうち5基に採用された写真は、郷土史家の石田兵一さん(故人)の写真集『雲水伴侶』に収められているもの。設置に尽力してきた本牧大里町の村田進さん(76)らの働き掛けにより提供が実現した。
解説板は高さ約1m、横約45cm、縦約35cmの小ぶりなもので、1から7までの通し番号とタイトル「本牧山頂公園から本牧の歴史を見る」が明記されている。
この歴史解説板の設置は、市の公園整備の一環として10年ほど前から検討されてきた。
公園デザインなどを手掛ける建設コンサルタントのアイデアを採用し、地元有志十数人で話し合い、2014年末には原稿が出来上がっていたという。予算などの問題もあり設置が先延ばしになっていたが、今年2月に工事が着手され、3月17日に完成。村田さんは、今回の整備を受け「ほっとした」と話す。
市八聖殿郷土資料館=中区本牧元町=の相澤竜次館長は「海が埋め立てられる前の自然豊かだったころの本牧を想像すると同時に、空襲・接収・埋め立て・返還という劇的な変化を遂げて現在の本牧の姿が出来上がったことを知るきっかけになる」と解説板を評価していた。