旭区で横浜産を中心とした無農薬野菜などを販売するイベント『旬菜マーケット』におじゃましました。会場は希望が丘のコミュニティカフェ「ハートフル・ポート」。二世帯住宅の１階部分をリフォームしたカフェで、１歩扉を開けると心落ち着くアットホームな空間が広がっています。

旬菜マーケットは毎月第３月曜日に開催しています。この日も農家から直接仕入れたたくさんの野菜が並び、地元のママ・パパをはじめ、たくさんの人々が買い物に訪れていました。

地元農家を中心に無農薬野菜や加工品が並ぶ

「希望が丘商店会に『旬菜屋』さんというすごく素敵なお店（農産物直売所）があったのです」と話すのは、コミュニティカフェや旬菜マーケットを運営するNPO法人ハートフル・ポート代表の五味真紀さん。「わたしも旬菜屋さんの一ファンだったのですが、閉店することを知り、もうあの新鮮な野菜が買えなくなるのかと思ったらすごく残念で、その後、旬菜屋さんを引き継ぐ形で、旬菜マーケットがはじまりました」と説明します。

マーケットでは旬菜屋時代から出荷していた生産者のとれたて野菜が並ぶほか、新しい商品の開拓も積極的に行っています。この日は横浜市瀬谷区の特定非営利活動法人でっかいそらからドリップコーヒーを仕入れました。「すこしでも地域の役に立てれば」と五味さんは話します。

でっかいそらのドリップコーヒー

チャレンジできる場所がある

また、会場のキッチンでは、カフェ空間を丸ごと貸し出すレンタルカフェが行われ、手作り料理が振舞われていました。

五味さんは「人と人が繋がることができ、やりたいことを実現したり、応援できる場所を作りたかった」と話します。レンタルカフェも、「ずっと営業はできないけれど、お店を運営してみたい」という思いや、「いつかは自分の店をだしたいのでカフェ運営の経験を積みたい」という人の思いに応えるサービスとなりました。

ハートフル・ポートではほかにも、交流事業として、水彩画やウクレレなどの教室を定期的に開催したり、不定期でコンサートやワークショップを開いたりしています。毎月第３水曜日には、認知症の方が、家族らと気軽に参加できる認知症カフェ「みなとの茶店」も始めました。参加者同士が決して一人で悩まない、情報交換の場になっています。

また、カフェ空間を活かして、様々な年代の方が自主的に学べる場をつくる「学びの事業」にも力を入れています。生涯学習の講座や勉強会、講演会など盛りだくさんです。そのほか、新たにコミュニティの場を開きたい人の相談に乗るなど、場づくりへの様々な相談にも乗っており、視察でカフェを訪れる人も多いそうです。

ハートフル・ポートのスタッフ、生産者ら。左から二人目が五味代表

子どもの居場所づくりをスタート

そんなハートフル・ポートが２０２３年４月から新しく始めた新事業が子どもの居場所づくりです。

地域の学校とも協議を重ね、子どもの居場所づくりの有識者とも連携し、『Soil 子どもの居場所』をカフェ内でスタートしました。土壌を指すsoil(ソイル)には豊かな土地から元気な芽がでるように、子どもたちも色々な人と関り、成長していって欲しいという思いを込めたそうです。子どもの居場所づくりでは、子どもたちがはじめてのことにチャレンジできる機会をつくるほか、ICTラボとしてipadを使った動画づくりや作曲、ChatGPTを学ぶといった未来を見据えた学習の場にもなっています。

多様性を認め合う地域コミュニティ

五味さんは「多様性を認め合い、チャレンジできるコミュニティをつくることを使命に運営しています。これからも、そこに行けば誰かと話ができて安心して居られる。ときには一人のチャレンジを皆で応援できる。そんな居場所づくりを続けていきたいです。こうしたコミュニティ空間が全国的に広がり、様々な場所にできることを望んでいます」と話しました。

カフェでは、高齢者、子どもたち、子育てパパ・ママなど世代を超えて、様々な人たちが共有するその空間を楽しんでいます。人と人の繋がりが希薄になっている現代社会において、地域で支え合う場づくりは各地域で課題となっています。誰一人取り残さない共生社会を実現する地域のひとつのコミュニティの形をハートフル・ポートで感じることができた一日となりました。

ぜひ、一度、コミュニティカフェ『ハートフル・ポート』をのぞいて見てはいかがでしょうか。きっと心躍る発見があるはずです。カフェや各種事業の詳細などはNPO法人ハートフル・ポートのHPをご覧ください。

レンタルカフェでは、手作り料理が振舞われていました