横浜の開港と共に日本の漆器はその精巧さと優美さで欧米諸国から人気を集め、各産地で盛んに生産されていた――。そうした輸出漆器を集めた特別展「近代輸出漆器のダイナミズム」が6月30日(日)まで、神奈川県立歴史博物館=中区南仲通=で行われている。
芝山漆器に焦点
世界有数の輸出工芸のコレクターとして知られる金子皓彦さん=大和市在住=のコレクションを主に、横浜港から海外へ渡った「近代輸出漆器」を中心に紹介するほか、箱根の寄木細工、木材を用いて絵や文様を表現する木象嵌などの輸出向け木工芸など約200点を展示。作品を通して近代輸出漆器の歴史を紐解き、その全貌に迫る。
中でも貝や牛の骨、象牙を立体的にはめこみ花鳥人物を浮かび上がらせる技法「芝山細工」を用いた「横浜芝山漆器」に焦点をあて、約60点もの作品を展示。この技術を継承する”最後の芝山師”とされる宮崎輝生さん=南区在住=の作品が大トリを飾る。