異常気象などによる予期せぬ災害が全国各地で頻発する中、ラフティングの強豪チーム「テイケイ」の監督で、大磯町高麗在住の浅野重人さん(50)と妻・裕子さん(38)が、「自然遊びを通じて、命を守る力を養ってほしい」と小中学生向けの「ワクワク自然塾」を開講している。8月にはサバイバルキャンプも予定しており、重人さんは「危険を知らないことで起こる事故をなくしたい」と話す。
10代の頃からオーストラリアなどの海外で、自然に親しむ外国人の暮らしを見てきたという浅野さん。休日には家族でトレッキングなど、自然のある環境に出かけ、危険がある箇所や注意の仕方などを含めて子どもたちに伝える文化があったという。
「日本は『危ないところから遠ざける』という気風がある。でも、それだと本当の危機管理能力は育たない。子どもたちに命を守るための方法を伝えられる場所を作りたい」と、2015年に夫婦でスタートさせたのがワクワク自然塾だ。場所は高来神社が厚意で境内を提供しており、年4回ほど、火おこしや、シェルターづくり、飲み水の確保の仕方のほか、ラフティングの競技経験を生かした川の泳ぎ方などをレクチャーする。
豪の森で1週間サバイバル経験
今年5月には、夫婦で渡豪し、ナイフやノコギリなどの最小限のアイテムのみで1週間、鬱蒼とした森の中で過ごすサバイバルのコースに参加した。
地面にたまった水をろ過したり、煮沸したりして飲み水を確保したほか、葉っぱで寝床となるシェルターを作るなどの過酷な日々。裕子さんは「普段ならすんなりできていたはずの結び方が焦ってしまってできないなど、いざという時の自分の精神状態を体験することができた。今なら、災害などが来ても何か手だてを見つけようと、考えることができるかも」と振り返る。
重人さんは19歳の頃、豪州で乗ったラフティングボードが転覆し、急流に投げ出されたことがある。生命の危機を感じ、「自然の中で絶対の安全などない」と心に刻まれた出来事だった。
「子どもの頃に、少しでも怖い経験をしていたら気を付ける気持ちができると思う。川が危ないのではなく、川での危ない箇所、行動を知らないのが危ない。自然遊びを通して、しっかりと危機管理意識を育んでいきたい」と話していた。ワクワク自然塾についての情報はフェイスブックページから。