遊行寺開山700年を記念した特別展「藤沢のおぐり」が、同寺境内にある遊行寺宝物館で始まった。小栗判官伝説と藤沢のゆかりに焦点を当て、藤沢市指定重要文化財に昨秋登録された「小栗満重坐像」のほか、初公開を含む108件151点を厳選して公開している。12月16日(月)まで。
江戸時代から歌舞伎や浄瑠璃で庶民に親しまれた小栗判官伝説のモデルとなった満重は、室町前期から中期にかけて常陸国(現在の茨城県)真壁郡小栗を支配した武将。県内をはじめ、関東近郊で史実にちなんだ伝説が複数残されている。
伝説は、妻・照手姫の実家である横山家に殺された満重がよみがえり、復讐するストーリー。同寺との関わりが深く、東海道道中案内記で藤沢宿といえば「小栗判官・照手姫伝説」が紹介されるなど有名になった。
同寺境内の長生院は、照手姫が中興したとされるかつての山内寺院。中庭には満重や照手姫、愛馬である鬼鹿毛の墓と伝わる石造物群がある。
同展で特に貴重な作品が、江戸初期の絵師・岩佐又兵衛が描いた古浄瑠璃絵巻群の一つ「小栗判官絵巻」(皇居三の丸尚蔵館収蔵)。全長約324mにわたる超大作で、主人公の満重と照手姫との恋愛物語を色鮮やかに、躍動感あふれる展開により表現。修復には、上皇后美智子さまが育てられた蚕の糸が用いられている。会期中4回の巻き直しを施し、巻七上と巻十一下の各前半・後半を全て観覧できる。
同館の遠山元浩館長は「史実と伝承に照らし合わせた小栗にまつわる展示の中で、これだけの作品が集まるのは稀。ぜひお楽しみ下さい」と来館を呼び掛けている。
開館は金・土・日・月・祝日の午前10時から午後4時30分。入館料は高校生以上800円、中学生以下400円。問い合わせは同館【電話】0466・22・2063。