この連載は月1回、「ふたまたがわ歯科口腔外科」の中谷逸希院長が気になるお口のあれこれについてわかりやすく解説してくれるコーナーです。
今回は口腔がんについてのお話です。
口腔がんは、日本国内で年間およそ1万人が発症し、がん全体の約1%を占めるとされています。「しこりがある」「なかなか治らない口内炎がある」「腫れを繰り返す」「唇や舌にしびれがある」などの症状は、口腔がんの初期兆候の可能性があります。
発生部位では「舌」が最も多く、全体の約55%を占めます。次いで下顎歯肉、上顎歯肉、頬粘膜、口底、硬口蓋の順に報告されています。
早期発見が極めて重要で、国立がん研究センターによると、初期ステージ(ステージI)の5年相対生存率は90%以上とされています。つまり「早期発見・早期治療」が治癒率を大きく左右します。
口腔がんは初期には痛みが少なく、口内炎や入れ歯のあたりと誤解されやすいのが特徴です。通常1〜2週間で治る口内炎が2週間以上治らない、あるいは改善と悪化を繰り返す場合や、しこり・腫れ・しびれなどの症状がある時は、早めに歯科・口腔外科を受診しましょう。
また、早期発見のために定期的に歯科検診を受けることが大切です。口腔がんの多くは目視で確認できるため、過度に恐れる必要はありません。普段からお口の中を自分でも観察する習慣を持ち、気になる変化があればためらわず相談してください。健口(けんこう)から健康長寿を目指しましょう。












