豊かな老後、地域と共に/森 武さん・高森在住 81歳
○…就任から6年にわたり、老人クラブの育成や事業の活性化に尽力した功績が評価されたものだが、「まさに青天の霹靂。自分はまだだと思っていた」と謙虚に語る。現在、市老連には32クラブ、約1800人が所属。グラウンドゴルフ大会やカラオケ大会など、県内でも随一の参加率を誇り、大規模な連合会と比べても引けを取らない活況ぶり。根底には「家に引きこもらず、豊かな老後を共に過ごそう」という強い信念がある。
○…老人クラブとの関わりは約25年前に遡る。「当初は会費を払うだけの会員だった」。総会や清掃活動程度しか行われていない現状に、「これでは会員が辞めてしまう」と危機感を抱き、改革に着手。陶芸や歴史勉強会の企画に加え、自身も未経験だったグラウンドゴルフの研修会を開いて普及に奔走。自治会の会合にも顔を出し勧誘を続け、60人ほどだった会員を1年で倍増させた。手腕が見込まれ、市老連の副会長を経て、2019年に会長に就任した。
○…伊勢原で育ち、秦野高校を卒業後、銀行に入行。直後に大病を患い入院したが、上司の温情に救われ定年まで勤め上げた。現役時代は公務部での自治体担当など業務を渡り歩いた。「家庭を顧みない企業戦士。人生は70年だと思って設計していた」と笑う。しかし、人生100年時代を迎え、地域活動の重要性を痛感。「老人クラブが健康寿命の延伸に果たす役割は大きい」と、情報発信など時代に合わせたPRにも余念がない。
○…多忙な日々を支えるのは、35年前から続ける陶芸だ。自宅に窯を構える本格派。妻と共に地域活動を楽しみ、「これまでのやり方にあぐらをかかず、地域共生社会の中で老人クラブがどうあるべきかを追求したい」と挑戦はまだ続く。
※タウンニュース伊勢原版2025年12月19日号











