厚い選手層の中で存在感を発揮し、今年は日本代表にも選出されるなど、キャリアハイを更新し続けるDF山根視来(みき)選手。
山根選手プロフィール
過酷な連戦や移動による疲労はあるというが、それでも充実した日々を過ごしている。「こういう経験をしないと強くなれない」ときっぱり。この夏、東京五輪代表メンバーの活躍にも刺激を受けたが、準決勝の対戦相手・スペインのレベルの高さを見て「上には上がいる」ことを実感。もっとレベルアップしたいとの思いを強くしたという。
横浜市出身。5歳でサッカーを始め、あざみ野FCでプレー。Jリーグで活躍する高木3兄弟と仲が良かったといい、2歳上の兄と5人で近所の黒須田前田公園(青葉区)でボールを蹴っていた。負けず嫌いが培われた原点で「お互いに負けたくない気持ちで挑んでいた。泣きながらよくやっていた」と述懐。
川崎市は隣にありながらも、当時は強豪チーム「さぎぬまSC」のあるまちとの印象だった。湘南でスタートしたプロ生活。アウェイで訪れる等々力陸上競技場は好きではなかった。「ボールは取れないし、サポーターの雰囲気が嫌だった」。移籍後は一転、すべてが味方になり、パフォーマンスを発揮する力になっている。一方で、コロナ禍で満員のホームゲームは2試合だけしか経験していない。「自分のチャント(応援歌)を歌ってもらいたいし、ほとんど川崎の応援歌を聞くことができていない。早く元通りの生活になってもらいたい」と切に願う。
昨シーズンは移籍後すぐに、新城商店街にあいさつ回りに訪れた。川崎ではまだ知られていないと思っていたが「山根君頑張って」と激励を受け、心が温かくなった。「地域に根付いた本当にいいクラブでいいまち」と実感したという。
コロナ禍で地域の商店も厳しい状況下にある。「結果で恩返しすることで元気にすることができる。色々な人に支えられていることを意識してプレーし、川崎市を明るくできるようにしたい」と力を込める。後半に入り、相手チームから徹底的に研究されている感がある中、「目の前の相手に勝つマインドで試合に臨む。全力でやりきる」と前を向く。