この連載は月1回、「ふたまたがわ歯科口腔外科」の中谷逸希院長が気になるお口のあれこれについてわかりやすく解説してくれるコーナーです
口の中に出血しやすい傷や斑点、なかなか治らない口内炎や盛り上がったできものはありませんか?
「口腔がん」は全てのがんの2%程度、2018年の統計では約2万2千例が新たに口腔がんと診断されています。男性の割合が多く、60歳代から増え始め、高齢になるほど罹りやすくなっていくのが特徴です。
口腔内のいろいろな部位にできますが、最もできやすい場所は舌、いわゆる「舌がん」です。「1カ月前にできた口内炎が治らない」といった訴えで受診されることがよくあります。舌の両脇にできることが多く、尖端や真中からできることはまれです。また、「歯肉がん」は初期症状が歯のぐらつきや歯茎の出血など、歯周病の症状とよく似ているので注意が必要です。
口の中に病変がある場合はご自身で触ってみましょう。一般的には初期のがんでは痛みや出血などはなく、硬いしこりが触れるだけのことが多いです。他の部分と違って明らかにその部分が硬く触れる場合は口腔外科の受診をお勧めします。
口腔がんに罹りやすい条件としては喫煙、飲酒に加え、お口の中の環境が挙げられます。尖った歯や合わない入れ歯、ブリッジなどがいつも粘膜を傷つけていると危険です。そのためかかりつけ歯科を持ち、定期的に口の中の環境を整えて、粘膜まで診てもらうことが口腔がんの予防や早期発見にとても重要です。