東京五輪の江の島セーリング会場や、北陸建築文化賞を受けた菊水酒造のグランドデザイン、地域に開いた福祉住宅で神奈川建築コンクールを受賞するなど、注目される建築家のひとり。
そのような本業の一方、任されているのが山形県遊佐町の親善大使だ。同町の稲川まちづくりセンターの設計過程では、地区住民とのワークショップを重ねた。庄内平野の美しい稲作地帯に聳える鳥海山を借景に、大きな土間を中心とした気配を感じ合うコミュニティ空間を見事に実現。さらに竣工後、運用の要となる事務局員研修や、運営組織を見直すためのワークショップも企画。住民活動の支援の在り方を見直すきっかけを作り、まちづくり応援隊も結成。
建築も街も「ハード面だけでなく、利用する人々の意識や体制といったソフト面も重要」と語る。一連の取組みに尽力した結果の任命。町の自然・文化・芸術のPRと町政推進への助言を行い、魅力向上に努めている。「湧水スポットを巡ると遊佐の豊かさを感じられますよ」と話す。
今年度は、宮城県蔵王町の統合中学校の設計者に選定された。蔵王連峰をはじめとする自然を大いに感じ、生徒同士や地域住民との交流空間を中心とした、開かれた学校を提案。教育のICT化による問題解決的な学習、個別的な協働ができる工房のような場も提案されている。「この学校生活で、生徒たちが蔵王町をより好きになってくれたら」。建物づくりは故郷(まち)づくり。これが梶浦二刀流だ。
企業紹介
敷地周辺の価値も活かし、利用する人々の気持ちが高まるデザインが高評価。実績はHPで