小田原の女流画家の先駆けで2020年に97歳で亡くなった豊島シズ枝さん。豊島さんが遺した作品を守り、多くの人が鑑賞できる機会をつくろうと弟子が合同会社を設立して活動している。
3月15日(火)から20日(日)には作品展「生誕100年記念祭 にんげんのうた」を小田原三の丸ホールで開催する(午前10時から午後5時)。
豊島さんは1923(大正12)年に市内で生まれた。父が急逝し、20歳のときから母と5人の弟妹のために働いたという。30代で自分の時間を取れるようになり絵画や彫刻、焼き物などに挑戦。画家の井上三綱氏に師事して、人間をモチーフにした作品を手掛けるようになった。国展新人賞や近代美術協会展奨励賞などを受賞している。
また40年以上、チャリティ展を企画して売り上げの一部を市に寄付するなど社会貢献活動に力を入れた。女流画家の育成にも尽力し、地元の文化発展にも寄与、14年度市民功労賞を受賞している。
ギャラリー「碧(へき)」から「合同会社豊島記念館」へ
18年から曽比にある自宅の一部をギャラリーとして個展を毎月開催。ギャラリー名は「碧(へき)」で、豊島さんが最も好きな色だそう。19年に末期がんが発覚すると、作品を守っていくために弟子が同年、「合同会社豊島記念館(山崎成子代表)」を設立した。
山崎代表と社員の高橋なおみさんは「豊島先生と生前、『100歳記念の個展を』と話していた。まずはその思いを叶えたい」と、「生誕100年記念祭」を企画。「自身が千番目の弟子といわれた」という高橋さんは「作品は絵だけでも千点以上あり整理が大変だった。弟子をはじめ、たくさんの方の協力のおかげでここまでたどり着けた」と振り返る。
19日(土)にトークイベントも
期間中は油絵や水彩など絵画100点と陶器100点ほどを展示する予定。19日(土)の2時からはトークイベントも行う。さらに4月2日(土)にはギャラリースペースを拡大してリニューアルオープンする。山崎代表は「常に人間の内なる思いを見つめ、温かく自由でのびやかな作品を遺した豊島シズ枝の生きた証を、多くの方にご覧いただければ」と話した。