SDGsに掲げられている理念「誰一人取り残さない」-。この考えは、仏教の「生けるものすべてを救う」とも親和性が高い。
徳川2代将軍・秀忠の祖母が開基し、1611年に創建された「貞宗寺(ていそうじ)」。山口円誉住職の好きな一文に善導大師の言葉がある。
『一心専念(いっしんせんねん) 弥陀名号(みだみょうごう) 行住坐臥(ぎょうじゅうざが) 不問時節久近 (ふもんじせつくごん) 念念不捨者(ねんねんふしゃしゃ) 是名正定之業(ぜみょうしょうじょうのごう) 順彼佛願故(じゅんぴぶつがんこ)』
意はこうだ。心を込め、ただひたすら南無阿弥陀仏と阿弥陀仏の御名を称え、いつでもどこでも称える場所も時間も気にすることなく、怠らずに継続する。これをまさに阿弥陀仏が選択し、凡夫の極楽往生が決定する「正定業」と名付けるのである。なぜなら、阿弥陀仏がすべての生きとし生けるものを救おうと誓われた本願そのものであるからである。
貞宗寺では現在、本堂を改修中で7月中に完成予定。敷地にはアジサイなど四季の花々が彩を加え、心静まる空間が常に用意されている。