この連載は月1回、「ふたまたがわ歯科口腔外科」の中谷逸希院長が気になるお口のあれこれについてわかりやすく解説してくれるコーナーです
近頃、テレビや雑誌で目にする機会が多い「オーラルフレイル」。聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。「フレイル」とは、介護が必要なほどではないけど、様々な機能が衰えてきた状態のことです。その中で「オーラルフレイル」とは、噛んだり、飲み込んだり、話したりするための口腔機能の衰えを意味します。
口腔機能が低下すると食事や会話に支障が出て、食欲がなくなったり、日常の活動範囲が狭くなったりしてしまいます。その結果、人や社会との関わりに消極的になり、社会性も低下することがあります。このように、「お口のささいな衰え」は心身機能の障害に繋ります。ある調査ではオーラルフレイルの人はそうでない人の2倍身体的フレイルを発症し4年以内の死亡リスクは2・4倍になることが分かっています。早期の老化サインを見逃さないことはとても重要です。
フレイルを防ぎ健康長寿を達成するためには「栄養(食と口の健康)運動・社会参加」という3つの柱が重要です。オーラルフレイルは口内の環境を整えてあげること、健口体操をがんばることで改善可能です。口腔機能低下症の検査や健口体操について、気になる方は歯科医院へ相談してみてはいかがでしょうか。健康長寿のためにはフレイルからの要介護状態に陥ることなく、オーラルフレイルの早期発見と、予防や改善に努めることが大切です。