「多摩美の大学院卒業後、創作活動の拠点としたこの町は大切な場所。はじまりの地での展示を、私自身も楽しみにしています」―。日本画家、谷保玲奈さん=写真=の横須賀での初の個展が12月10日(土)から、かさぎ画廊(横須賀市本町1の12)で開かれる。
その作品で特徴的なのは、モチーフと色使い。これに大きく影響しているのが、横須賀という場所だ。「自然が近い」ことを決め手に、平作に共同アトリエを構えたのが20代半ば。約9年間過ごした。作品で表現される自然や動植物の「生」は細微な観察力から生まれたもの。これに独自の色彩表現を掛け合わせることで、唯一無二の「日本画」を創り出してきた。自然から恩恵を受けた自身の絵を自然に返すという実験も。仲間たちと共に約4mの作品をたたら浜へ持ち出し撮影した。
絵が好きだった幼少時代、中学2年までボリビアとドミニカで暮らした。その影響もあってか、「日本」と入っているのがかっこいいと思い、日本画を選んだ。光によって見え方が変化する絵具、水の使い方など質感の変化も無限だ。アートが手近に画像で拡散されてしまう昨今、「自分の目で実物を見て感じてほしい」という思いを強く抱いている。
昨年初めから、新たな環境で創作を続ける。「衣笠では花屋で働いていたことも。横須賀での大切な日々、たくさんの方に支えられて描き続けています。その大切な場所で作品を展示できることを、心から嬉しく思っています」。会期は12月18日(日)まで。