「おいしいだけでなく、健康にもいいパンを届けたい」――。高倉町に本社工場を構える(有)アイグランは、1988年創業の地域密着型のパン屋。日野市に泉塚店を構えるほか、昨年10月には鑓水にできたビバホーム八王子多摩美大前店内にオープンさせた今注目の店の一つだ。
創業以来「安全・安心・健康」を掲げる同社が7年越しで世に出した商品の名前は「LOCAPA(ロカパ)」。LOW CARB Painの略で、その名の通り、低糖質のわけは1個のパンに約3割練り込まれたこんにゃくペーストだ。パン作りに適したこんにゃくが見つからず、一度は頓挫したところから、同社の同類商品と比べ約3割の糖質カット、5割の減塩に成功した。
開発に携わった岩田祐梨子営業課長は、「それだけではつまらない。どんなコラボならお客様が手に取ってくれるか」と思試行錯誤を重ね、地場野菜である日野市産トマトに着目。もちっとしたこんにゃくペーストの入った生地で、抗酸化作用のあるリコピンを多く含んだトマトと、相性の良いカマンベールチーズを包んだ「トマトパン」などを2年前に完成させた。
無添加にもこだわり
噂が噂を呼び、健康志向の人や糖質の気になる人が手に取る一方、ほかの一般的なパンと変わらない見た目に「こんにゃくが使われているなんて分からなかった」「(低糖質など関係なく)味が気に入った」などの声もあるそう。すべてのパンで添加物の使用を限りなくゼロにしている点も同店のこだわりだ。通常のパンは2〜3日で乾燥してしまうが、ロカパシリーズはこんにゃくの保水性のおかげで無添加ながら冷蔵で1週間、冷凍で1カ月間おいしさが保てるという。
昨年2月には、全国から魅力的な商品や食べ物が集まる「ニッポンの宝物JAPAN大会 ヘルシー部門」で準グランプリを受賞。昨年12月には、多摩信用金庫主催の中小企業の技術などを表彰する「多摩ブルー・グリーン賞」でも、経済産業省関東経済産業局長賞と第20回記念特別賞のダブル受賞を果たした。
ロカパシリーズは現在、トマトパン以外にあんチーズ、食パン、ナンなどを展開。曜日によって提供種類・数に限りがある。使用しているこんにゃくペーストは別会社が特許を取得したもので、岩田さんは糖質制限のある人や専門施設などへの提供を想定し、「大量生産ができる体制を整え生産を軌道に乗せることが課題」と話す。問い合わせは鑓水店【電話】042・682・2022。