映画やドラマの中で、どこにでもある日常的な街並みや景観で撮影したワンシーンに魅せられた経験はありませんか。役者さんの演技力やストーリーと同じように、ロケ地も視聴者を惹きつける要素の一つ。綾瀬市は、映像業界から一目置かれる「ロケ地」で、これまでに何と160作品以上が市内で撮影されています。

「何もない」からの挑戦

綾瀬市が映像業界から注目されるようになったのは、綾瀬市と地域住民組織「あやせ市ブタッコリ〜ロケ隊（通称ブタロケ隊）」が10年前に発足させた「綾瀬ロケーションサービス」の成果によるものです。観光名所もない、鉄道の駅もないまちを「ロケとグルメで元気にしよう！」と官民一体の挑戦としてスタートしました。

ロケの誘致は、制作会社のイメージや要望を聞いて、市職員が市庁舎や公共施設などの候補地を提案したり、ブタロケ隊メンバーが街中を回って探してみたりと官民一体となって東奔西走。撮影では交通誘導や見学者への注意喚起などスムーズな進行を裏方として支えています。献身的で協力的な姿勢で信頼を積み重ねていくうちに、映像業界から「ロケに優しいまち」と評判を得るまでになったのです。

綾瀬市出身の「さかなクン」も

東京海洋大学名誉博士、客員教授でテレビでも活躍する「さかなクン」の半生を描いた映画『さかなのこ』（2022年9月公開）は、ロケーションサービスを利用した作品の１つです。さかなクンは綾瀬市出身で、母校の中学校で撮影したシーンでは同級生でお笑いコンビ・ドランクドラゴンの鈴木拓さんも登場して話題となりました。

公開前には撮影を記念したタイアップ事業で作品をPR。市役所１階に、作品のワンシーンを切り取った写真や撮影時のエピソードを紹介するロケ地看板、さかなクンが学生時代に手がけたカブトガニの剥製や絵などを展示し、大勢のファンでにぎわいました。噂を聞いたさかなクンがお忍びで会場に訪れるサプライズもあったそうです。

• 綾瀬ロケーションサービスは10年目の節目を迎え、今年２月の市HPリニューアルに併せて「綾瀬ロケーションサービスサイト」を新設。ロケ候補地の静止画像に加え、360度画像を用意するなど、ロケ誘致を促進しています。

綾瀬ロケーションサービスサイト

https://www.city.ayase.kanagawa.jp/location/index.html

360度画像も充実したロケ地ライブラリ

https://www.city.ayase.kanagawa.jp/location/library/genre/index.html

キャストにも好評「あやせとんすきメンチ」

ロケの誘致を進める中で誕生したのが「あやせとんすきメンチ」です。綾瀬市の郷土料理「豚すき」をベースに、ブタロケ隊と綾瀬市商工会が３年かけて開発しました。使用する食材などのルールとなる「とんすきメンチ五か条」を設け、サクサクの衣の中に豚肉のジューシーな旨味をギュッと閉じ込め、美味しさがあと引く逸品に仕上げました。

ロケ隊へ差し入れするとキャストさんからも好評で、イベントなどに出店するキッチンカーには人だかりの行列も。現在、市内８店舗で販売されていてもうすぐ10万食を販売する人気商品に。その勢いは留まることを知りません。

ロケ地巡りを楽しもう！

話題となったドラマや心に残った映画の追体験ができたり、役者になり切って思い出の写真を残せるのは「ロケ地巡り」の醍醐味です。綾瀬市ではロケ地巡りを10倍楽しむさまざまな工夫がいっぱい。

実際に撮影が行われた21カ所に作品名とシーンが分かる説明を添えたロケ地看板が設置されていて、ファン心理をくすぐります。ロケ地やキャストが実際に食べたロケ弁当、とんすきメンチを提供する店舗はガイドマップにまとめられていて、綾瀬市役所などで無料で配布されているのでぶらりと訪れてみてはいかがでしょうか。綾瀬ロケーションサービスサイトでは、これまでに撮影された作品の紹介も。