イオンリテール（株）は、買い物不便地域に食品や日用品を載せた移動販売車両を５月22日から走らせている。丘の上や高台の住宅地に暮らす高齢者などに向けたサービスで、イオン久里浜店を拠点に同社と地域連携協定を結んでいる横須賀市の10地区と三浦市１地区を軽自動車２台体制で運行。買い物だけでなく、地域住民の見守りやコミュニティー形成の役割も担っている。

　三浦市の実施地区は、県営上宮田団地第二公園。近隣店舗が少なく、日常的な買い物に不便を感じている人が多い場所を選定した。別の事業者とサービスが重複することを避け、空白地区を埋めることを優先した。

　久里浜店では、ネットスーパーの開設や丘陵地区を中心とした買い物バスの運行で利用者の利便向上に努めてきた。一方で、来店困難者が一定数存在していることや商品を実際に見て選びたいというニーズがあることから移動販売の導入を決めた。各販売場所を原則週に２回巡回。上宮田団地前には月曜午後３時20分〜、木曜午前11時20分〜それぞれ20分停車し、日用品だけでなく、事前注文で家電品などを届ける”御用聞き”も行う。販売員が住民の異変を察知した場合は、横須賀市福祉相談窓口「ほっとかん」などにつなげる。

　初日、公園には多くの高齢者が訪れた。卵や果物などをかごに入れていた80代女性は「駅前まで歩くのは面倒なので便利」と話し、自身の目で商品を見定めながら、買い物を楽しんでいた。