矢向日枝神社(萩原諄夫宮司)に6月末まで、茅の輪が設置されている。同神社での設置は約70年ぶり。「矢向の伝統行事を残したい」と神社と地元有志が協力。早速くぐりに訪れる地元住民もいるなど好評で、6月30日には大祓「茅の輪くぐり」の神事も執り行われる。
茅の輪くぐりは、茅という草で編んだ直径数メートルの輪をくぐることで心身を清めて災厄を祓い、無病息災を祈願するもの。同神社でも1954年までは大祓の神事に合わせて茅の輪を設置してきたが、その後は神事のみを行うことが続いてきた。
しかし今回、萩原宮司が「新型コロナなど困難が続いた世の中で、改めて地域の伝統を復活させて残していきたい」と地元有志と協力。約70年ぶりに茅の輪の設置に向けて動き出した。
茅の輪づくりで使用する茅は、以前は鶴見川で採取したものを使っていたが、近年は難しく、今回は山口県から取り寄せた。完成した茅の輪は縦横それぞれ1・8mほどの大きさで仕上げた。
通常、茅の輪の設置は大祓の神事の5日ほど前から設置することが多いが、今回は6月上旬から設置。「短い期間では来られない方もいる。久しぶりに行う伝統行事を多くの方に触れていただきたかった」と萩原宮司。正しいくぐり方の看板を境内に設置するなど準備も整っていて、訪れた参拝者からは「初めて見た。こんな伝統行事があったとは」と驚きと喜びの声が聞かれた。
萩原宮司は「茅の輪くぐりの伝統行事に触れ、健やかな生活を送っていただきたい。今後も矢向のまちの伝統を掘り起こし、残すべきものは継承していきたい」と語る。
大祓「茅の輪くぐり」の神事は6月30日の午前10時から開催される。神事は神職のみで行われるが、その前後は一般の参加も可能。